縦隔気腫の前兆や初期症状について
縦隔気腫の初期症状には、突然現れる胸痛や背部痛などがあります。
縦隔気腫が大きくなると、頸部痛や嚥下困難、呼吸困難、咽頭痛などの症状が現われます。
大動脈が圧迫された場合には循環不全を引き起こし、血中の酸素濃度の低下をきたして口唇や指先の皮膚が青紫色に変化するチアノーゼ、頻脈、低血圧、ショックが現われることもあります。
縦隔気腫の検査・診断
縦隔気腫の検査は胸痛や頸部痛、頸部の皮下気腫などの症状がある場合に検討され、聴診や触診、血液検査、胸部レントゲン検査、CT検査が行われます。
食道破裂や気管支損傷を発症している可能性がある場合は、食道造影や上部消化管内視鏡検査、気管支鏡検査が行われることもあります。
聴診・触診
縦隔気腫の診断では、聴診や触診が行われます。
縦隔気腫を発症すると、心臓の収縮期に一致して捻髪音(Hamman`s sign)という髪の毛を擦り合わせたような音が聴取されることがあります。
触診では縦隔気腫の発生した頸部に、雪を触ったようなザクザクとした握雪感(snowgrasping sense)が確認されることがあります。
血液検査
縦隔気腫では血液検査によって、白血球数やCRP(C反応性タンパク質)を測定します。
炎症をきたしている場合は、白血球数やCRP(C反応性タンパク質)の数値が上昇します。
胸部レントゲン検査、CT検査
胸部レントゲン検査では胸部の全体像を確認します。
縦隔気腫を発症していると、心臓や大動脈に沿って黒く抜けたように見える透亮像が観察されることがあります。
CT検査では身体の輪切り画像を撮影します。
頸部から胸部のCT検査をすることで、縦隔の広がりや縦隔内の臓器が空気に押されている所見(圧排)や、空気が溜まっている範囲を確認でき、治療方針の決定に役立ちます。
食道造影・上部消化管内視鏡検査、気管支鏡検査
縦隔気腫をきたす食道破裂や気管損傷の診断では、食道造影や上部消化管内視鏡、気管支鏡検査が行われることがあります。
食道造影は体内に注入した造影剤により食道の形状や太さを確認する検査であり、食道破裂の診断では造影剤が漏出している箇所の有無を確認します。
上部消化管内視鏡検査や気管支鏡検査では体内にカメラを挿入し、食道や気管支に破れている箇所や損傷している箇所がないか観察します。
配信: Medical DOC