監修医師:
大坂 貴史(医師)
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
亜鉛欠乏症の概要
亜鉛欠乏症は、鉄、ヨウ素、ビタミン A と並んで、世界的に最も重要な微量栄養素欠乏症の 1 つです (参考文献1)。 亜鉛は骨、筋肉、皮膚、肝臓など体内に広く存在します (参考文献2)。亜鉛は100種類以上の酵素の構成成分として重要な役割を果たしており、DNA合成、蛋白合成、ホルモンの合成や分泌、免疫反応の調節などに作用し、身体の成長と維持に必要な栄養素です。
そのため、亜鉛が欠乏すると、味覚異常、皮膚炎、脱毛、貧血、口内炎、性機能異常、易感染性、骨粗しょう症などの症状が出現します。小児では発育障害も呈します。なお、肝硬変、糖尿病、慢性炎症性腸疾患、慢性腎臓病の患者の多くでは、血清亜鉛値が低下しており、亜鉛欠乏状態であることが知られます (参考文献3)。
亜鉛欠乏症の原因
亜鉛欠乏の原因には亜鉛の摂取不足、吸収不全、需要増大、排泄増加などがあります (表2) (参考文献3)。低出生体重児、妊婦、高齢者は亜鉛欠乏になりやすく、また慢性肝障害、短腸症候群、糖尿病、慢性腎疾患等の疾患、キレート作用を有する薬剤の長期服用、亜鉛補充が不十分な静脈栄養・ 経管栄養も亜鉛欠乏の原因になります。
配信: Medical DOC