亜鉛欠乏症の前兆や初期症状について
亜鉛欠乏症の症状は多岐にわたりますが、初期症状としては食欲の減退、乳児小児においては成長発達の遅れが挙げられます。また皮膚障害も生じやすく、皮膚炎、口内炎、まだら状の脱毛、水疱、褥瘡潰瘍などがみられます。味覚障害、嗅覚障害、倦怠感、イライラ、情緒不安定を認めることもあります。男性の場合には、性腺機能低下、精子の産生低下、勃起不全を認めます。免疫システムが弱くなることもあり、病原体に感染しやすくなったり、傷の治癒が遅くなることがあります。なお、妊婦が亜鉛欠乏症になると、胎児に先天異常が生じたり、出生時の体重が予定より少なくなることがあります。
こういった初期症状がある場合は内科を受診しましょう。
亜鉛欠乏症の検査・診断
亜鉛欠乏症は、亜鉛欠乏の臨床症状および血清亜鉛値によって診断されます(参考文献1)。亜鉛欠乏症の診断基準は下記の通りです (参考文献3)。
1.下記の症状/検査所見のうち1項目以上を満たす
臨床症状・所見(皮膚炎、口内炎、脱毛症、褥瘡 (難治性)、食欲低下、発育障害 (小児で体重増加不良、低身長)、性腺機能不全、易感染性、味覚障害、貧血、不妊症
検査所見 (血清アルカリホスファターゼ活性 (ALP) 低値)
2. 上記症状の原因となる他の疾患が否定される
3. 血清亜鉛値(3-1) 60μg/dL未満:亜鉛欠乏症
(3-2) 60-80μg/dL未満:潜在性亜鉛欠乏症
※血清亜鉛は早朝空腹時に測定することが望ましい
4. 亜鉛を補充することにより症状が改善する
※確定診断: 上記項目の1,2, 3-1,4をすべて満たす場合を亜鉛欠乏症と診断する。上記項目の1,2, 3-2, 4をすべて満たす場合を潜在性亜鉛欠乏症と診断する。亜鉛補充前に1.2.3.を満たすものは亜鉛補充の適応になる。
亜鉛欠乏症の症状があり、血清亜鉛値が亜鉛欠乏 (血清亜鉛値 60μg/dL未) または潜在性亜鉛欠乏 (60-80μg/dL) であれば、亜鉛を投与して症状の改善を確認することが推奨されます。なお、炎症が高い状態では血清亜鉛値が低下することが知られ、アルカリホスファターゼ活性 (ALP) も亜鉛の状態を示すマーカーとして機能します。
配信: Medical DOC