前頭側頭型認知症の前兆となる初期症状とは?Medical DOC監修医が前頭側頭型認知症の初期症状・原因・治療法や家族のケア方法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
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監修医師:
上田 雅道(あたまと内科のうえだクリニック)
愛知県立一宮高等学校卒業
福島県立医科大学医学部卒業
名古屋掖済会病院 脳神経内科医員
豊橋市民病院 脳神経内科医員
名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学
中部ろうさい病院 神経内科医長
「前頭側頭型認知症」とは?
前頭側頭型認知症は、主に脳の一部である前頭葉と側頭葉にある神経細胞に異常が生じて発症する認知症です。人格変化、行動障害、言語障害などが進行していきます。
前頭側頭型認知症は、記憶の低下よりも行動や性格の変化、言語機能の低下が目立つことが特徴です。感情の制御や社会的な行動ができなくなり、社会生活や人間関係に問題が生じやすくなります。主に40代から60代に発症することが多く、比較的若い年齢でも発症します。
前頭側頭型認知症が進行するにつれて、パーキンソン症状や運動神経疾患といった運動障害がみられるようになることもあります。
前頭側頭型認知症の前兆となる初期症状
前頭側頭型認知症の初期症状は、記憶力の低下ではなく、人格や行動の障害、言語の障害から始まることが多いです。以下に主な初期症状を挙げます。
抑制が効かない
他人への共感や社会的なルールを守る意識が薄くなり、不適切な発言や行動が増え、礼儀やマナーを守ることができなくなります。周囲の目を気にしない言動がみられるようになります。暴力的な言動、スーパーで商品を盗んでしまうといったような行為がみられることがあります。
共感できない、気力や意欲がなくなる
家族や友人に対する感情的なつながりが弱くなり、他人に共感することがむずかしくなります。相手の感情を考えない言動をしてしまうことがあります。
以前は関心があったことや活動への興味を失い、意欲の低下がみられます。
同じ行動を繰り返す(常同行動)
同じ行動を繰り返したり、ルーチンに固執することがあります。いつも同じコースを散歩する、同じ食べものを食べ続ける、同じ時間に同じ行動を取るといったことがみられるようになります。
言語能力の低下
日常会話で使う言葉の数が減り、簡単な言葉しか出てこなくなります。複雑な文を理解することがむずかしくなります。相手に言われたことをオウム返しする、同じ言葉を繰り返し言うといったことがみられます。
食事、嗜好の変化
甘いものや特定の食品を過剰に摂取するなど、食の好みに極端な変化が見られることがあります。アイスクリームを何個も食べる、コーヒーに砂糖を何杯も入れる、ご飯に塩やしょうゆをかけるなどの変化がみられることがあります。
配信: Medical DOC