聴神経腫瘍の前兆や初期症状について
聴神経腫瘍の初期症状は、腫瘍が発生した耳の難聴や詰まり感、耳鳴り、めまいなどです。
内耳の機能が障害されやすいため、感音性難聴が起こって高音の音が聞こえにくく、声を聞き分けるのが難しくなります。
難聴は徐々に進行するケースが多いですが、突然音がほとんど聞こえなくなるケースもあれば、自覚症状がなく、検査で初めて判明するケースもあります。
腫瘍が大きくなると三叉神経や小脳、脳幹、大脳を圧迫するため、顔面のしびれや歩行中のふらつき、水頭症による意識障害などが現われます。
聴神経腫瘍の検査・診断
聴神経腫瘍では、純音聴力検査や聴性脳幹反応などの聴覚検査、温度眼振検査や前庭誘発筋電位検査などの平衡感覚の検査で症状の程度を確かめます。
聴覚検査や平衡感覚の検査で病態が疑われる場合は、確定診断としてMRI検査をおこないます。
その他に顔面神経麻痺が疑われる場合は、神経症状に応じた検査をすることもあります。
純音聴力検査
純音聴力検査は125〜8,000Hzの高さ(周波数)が異なる音を聞いてもらい、それぞれの周波数で聞こえる最小の音の程度を調べる検査です。
検査は防音室でヘッドホンを装着した状態でおこないます。
耳の聴力に左右差があり、片耳で500〜2,000Hzの聴力低下もしくはdip型(4,000Hz付近に限局した聴力低下)が起きていると、聴神経腫瘍が疑われます。
聴性脳幹反応
聴性脳幹反応検査は音刺激に対する脳幹の反応を波形として記録する検査です。
正常の反応では5つの独立した波形が示されることが多いですが、聴神経腫瘍が起きていると2つ目以降の波形が小さくなったり、通常より波形が発生するタイミングが遅くなったりする可能性があります。
温度眼振検査
温度眼振検査(カロリックテスト)は、外耳道に温水または冷水を注入して前庭神経を刺激し、眼振が起こるか確かめる検査です。
聴神経腫瘍が発生していると左右差が認められることが特徴で、腫瘍がある耳は反応が乏しくなる可能性があります。
前庭誘発筋電位検査
前庭誘発筋電位検査はヘッドホンで大きな音を聞かせ、胸鎖乳突筋などの反応を筋電図で記録する検査です。
腫瘍ができている耳は、正常な耳と比較して筋肉の反応が乏しくなる可能性があります。
MRI検査
MRI検査は強力な磁場と電波を使用して、脳や内耳道の詳しい断層画像を撮る検査です。
聴神経腫瘍の診断では造影剤を使用し、腫瘍の存在や大きさ、周囲の組織との関係をより明確に撮影します。
造影剤を使用することで小さな腫瘍も検出できるため、早期発見も可能です。
配信: Medical DOC