「クッシング病」の初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「クッシング病」の初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

クッシング病の前兆や初期症状について

クッシング病の前兆や初期症状は、体の変化として徐々に現れます。特徴的なのは、顔が丸くなり、むくんだような「満月様顔貌」と呼ばれる特徴的な顔つきです。また、急に体重が増えることが多く、特にお腹や背中、顔に脂肪がつきやすくなります。一方で、手足は細くなることが多いです。皮膚にも変化が見られ、皮膚が薄くなってあざができやすくなったり、傷が治りにくくなったりします。さらに、お腹や太もも、腕には赤紫色の妊娠線のような「皮膚線条」が現れることもあります。その他にも、筋力が低下して階段を上るのが難しくなる、疲れやすくなる、気分が落ち込みやすくなるといった症状も見られます。高血圧や血糖値の上昇が起こることもあります。また、子どもが発症すると、肥満と共に成長の遅れが見られることもあります (参考文献 1) 。

クッシング病の検査・診断

クッシング病の検査や診断は、「クッシング病の前兆や初期症状について」の項で説明したような症状や体の変化が見られた場合に行われます。
まず行われるのは、血液検査と尿検査です。早朝に血中の ACTH とコルチゾールの濃度を測定すると、クッシング病 では本来低値のはずの ACTH が抑制されていません。また尿検査では、尿中のコルチゾールが高値になります。

血液検査と尿検査で クッシング病 が疑われた場合には、「少量デキサメタゾン抑制試験」と深夜睡眠時の血中コルチゾール値の検査が行われます。「少量デキサメタゾン抑制試験」は、デキサメタゾンという薬を前日夜に服用して、翌朝に血中のコルチゾールの値が抑えられるかを確認します。正常な場合はコルチゾールが減少しますが、 クッシング病 では減少しません。また、深夜睡眠時の血中コルチゾールの値が高い場合もクッシング病をさらに疑います。

最終的な確定診断のためには、 CRH負荷試験 と「一晩大量デキサメタゾン抑制試験」、MRI検査、選択的下垂体静脈洞血サンプリングが行われます。 CRH とは、 ACTH の分泌を促進するホルモンで、コルチコトロピン放出ホルモンと言います。 CRH負荷試験は CRH を注射した後、血中の ACTH の濃度が高くなっていることを確認する試験です。次に「大量デキサメタゾン抑制試験」は先ほど説明した「少量デキサメタゾン抑制試験」と同様に前日夜にデキサメタゾンという薬を内服して翌朝に血中のコルチゾール値を確認する試験ですが、少量の場合と異なり大量に内服した場合、クッシング病の患者さんでは血中のコルチゾール値が半分以下に抑制されます。そして MRI検査 では、下垂体腫瘍が観察されます。また、選択的下垂体静脈洞血サンプリングという検査では血中の ACTH濃度 を中枢部分と末梢部分で比較します。クッシング病の患者さんでは中枢部分での ACTH濃度 が高く検出されます。

以上のような検査を通してクッシング病の診断が行われます (参考文献 2) 。

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