「クッシング病」の初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

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クッシング病の治療

クッシング病の治療は、主に原因となる下垂体腫瘍を取り除くことです。最も一般的な治療法は、腫瘍を手術で摘出することです。この手術は通常、鼻の中から器具を挿入して下垂体腫瘍を取り除きます。手術が成功すれば、多くの場合、体内のコルチゾールの濃度が正常に戻ります。術後数年間は毎年コルチゾールの濃度を測定し、経過観察する必要があります。
手術で腫瘍が完全に取り除けなかった場合には、再手術を行う場合があります。また、放射線治療が行われることもあります。放射線照射によってコルチゾールの分泌量が正常値まで低下するのには数ヶ月以上かかります。
また、コルチゾールの過剰分泌を抑えるための薬物療法も選択肢の一つです。副腎酵素の働きを抑えてコルチゾールの分泌を抑える副腎酵素阻害薬などが用いられます。放射線療法と並行して薬物療法が行われることもあります。
場合によっては、副腎そのものを手術で取り除くこともありますが、この場合、コルチゾールを補充するために生涯にわたってホルモン療法が必要になります (参考文献 3) 。

クッシング病になりやすい人・予防の方法

クッシング病は中年の女性に比較的多くみられる病気で、女性は男性の 約4倍 かかりやすいとされています。そして、クッシング病の予防方法は明確に確立されていません。長期にわたり診断がつかないままになっていたり、治療が効果的でなかった場合には心血管系の障害や感染症により亡くなる可能性もあります。しかし、早期発見でき、適切な治療が行われれば予後は悪くありません (参考文献 1) 。

参考文献

1.矢崎義雄 et al.「内科學第11版」(朝倉書店、2017年)1545-1549ページ

2.難病情報センター「クッシング病 (下垂体性 ACTH 分泌亢進症) (指定難病75) 」(難病情報センター、最終閲覧日2024年9月11日)

3.UpToDate. “Primary therapy of cushing disease: Transsphenoidal surgery and pituitary irradiation”. (Last updated: 2024年5月20日)

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