「ニューモシスチス肺炎」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「ニューモシスチス肺炎」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

ニューモシスチス肺炎の概要

ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia:PCP)は真菌によって引き起こされる肺炎です。
PCPは、特に免疫力が低下している状態で感染しやすく、HIV感染者、がん患者、臓器移植後の患者に多くみられます。

進行すると重篤な肺炎を引き起こす可能性があり、適切な治療を行わない場合は致死的となることがあるため、早期診断と治療が重要です。

ニューモシスチス肺炎の原因

PCPの原因は、飛沫感染・空気感染するPneumocystis jiroveciiという真菌の一種です。
この真菌は通常、健康な人には無害ですが、免疫が弱まっている人に感染すると肺炎を引き起こします。

特に、AIDS(HIV感染者)、がん患者、臓器移植が原因でPCPに感染する人が多い傾向です。

AIDS(後天性免疫不全症候群)

AIDSの患者はPCPに罹患しやすいです。
AIDSはHIVウイルス(ヒト免疫不全ウイルス)が体の免疫システムを守る「CD4陽性T細胞」という細胞に感染し、免疫力を大きく低下させます。
そのため、AIDSの患者はPCPの発症リスクが高いです。

がん患者

がん患者、特に悪性リンパ腫や他の血液がんを治療している患者では、化学療法や放射線療法を行います。
化学療法や放射線治療では、免疫抑制を伴うため、PCPのリスクが大幅に増加する傾向です。

臓器移植後

臓器移植手術は、体が移植された臓器を「異物」として攻撃してしまう「拒絶反応」がおこります。
拒絶反応が起きると、臓器がうまく機能しなくなる可能性があるため、臓器移植後は免疫のシステムを抑える免疫抑制剤の使用が必要です。
免疫抑制剤を使用するため、その結果としてPCPを発症することがあります。
特に肺移植の患者は、呼吸器を通じて外気から病原体が侵入しやすく、感染リスクが高いです。

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