大腿骨頭壊死の治療
大腿骨骨頭壊死の治療法は、保存療法と手術療法の2つに分かれます。
保存療法と手術療法ともに経過観察が重要で、病状の変化に応じて治療方針が変更されることがあります。
保存療法
壊死の程度や範囲、位置などから手術の必要はなく予後がよいと判断された場合において、保存療法を選択します。
杖を使うことで患部にかかる負担を軽減したり、痛みが強いときに鎮痛剤を使用したりして対処します。
体重コントロールや長距離歩行の制限など、生活上の指導をおこなうこともあります。
保存療法で対応していても、病変の悪化がある場合は手術療法へ切り替える可能性もあります。
手術的治療
圧潰の進行や自覚症状を認める場合は、骨切り術や人工股関節置換術などの手術療法をおこないます。
骨切り術とは大腿骨の形状を変化させることにより、体重がかかる部位を病変のない面に移動させる手術です。
自分の健常な骨を使用するため、若年患者において第一選択される治療法です。
人工股関節置換術とは、壊死した部分を人工の関節に置き換える手術で、骨頭のみを人工物に置き換える術式と股関節全体を人工物に置き換える術式があります。
壊死が広範囲に及んでいたり圧潰が進行していたりする場合に選択される手術方法です。
人工物を挿入するため骨切り術と比べて早期から荷重でき、入院期間が短い利点がありますが、場合によっては一定の期間を経て人工関節の入れ替えをおこなわなければならないこともあります。
大腿骨頭壊死になりやすい人・予防の方法
大腿骨骨頭壊死になりやすい人は、主に以下のような人です。
ステロイドを服用してる人
アルコールを過剰摂取している人
外傷歴がある人
放射線治療を受けている人
高用量のステロイドを長期間にわたり使用していたり、日常的に大量のアルコールを摂取していたりする場合、骨組織へ悪影響を及ぼすため大腿骨骨頭壊死につながるといわれています。
また、けがや事故などにより外傷歴がある場合や、放射線治療により高線量の放射線を照射された経験がある場合もリスクが高いです。
大腿骨骨頭壊死は完全に予防することは難しいものの、以下の方法によりリスクを減らせます。
ステロイドの適切な管理
アルコール摂取量の制限
病気の治療でステロイドを服用している人は、医師の指示に従って用法や用量を守りましょう。
不安を感じる場合は医師に相談することも大切です。
アルコールを多量に摂取する習慣がある人は過度の飲酒を避け、適度な飲酒量を心がけてください。
大腿骨骨頭壊死は早期発見や早期治療が重要です。
リスクがある方や股関節に違和感がある場合は、早めに整形外科を受診してください。
関連する病気
症候性大腿骨骨頭壊死
特発性大腿骨骨頭壊死
潜函病
参考文献
公益社団法人日本整形外科学会「特発性大腿骨頭壊死症」
公益財団法人難病医学研究財団難病指定センター「特発性大腿骨頭壊死症」
厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル特発性大腿骨頭壊死症」
厚生労働省「71特発性大腿骨骨頭壊死症」
菅野伸彦「特発性大腿骨頭壊死症の疫学調査・診断基準・重症度分類の改訂と診療ガイドライン策定を目指 した大規模多施設研究」大阪大学医学系研究科運動器医工学治療学
配信: Medical DOC
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