カポジ肉腫の治療
AIDS関連型カポジ肉腫の治療では抗HIV療法や化学療法、放射線療法をおこないます。
ここでは日本国内で発症例の多い、AIDS関連型のカポジ肉腫の治療法を紹介します。
抗HIV療法
抗HIV療法は主にHIV感染症に用いられる治療法で、免疫機能を回復させることにより、カポジ肉腫を改善できる効果も認められています。
抗HIV療法だけで進行を抑えられない場合では、化学療法を併用します。
治療開始後の3ヶ月以内に、カポジ肉腫を増悪させる免疫再構築症候群が発症することもあるため、経過を見ながら治療を進めていく必要があります。
化学療法
化学療法は主に抗がん剤でおこないます。抗HIV療法で進行を抑えられないケースや重症例において選択されます。
放射線療法
放射線療法はX線やガンマ線などの放射線を当てて腫瘍を小さくする治療です。
カポジ肉腫では、全身状態が不良な例に用いられることが多く、リンパ浮腫を伴う病変でも改善できる可能性があります。
カポジ肉腫になりやすい人・予防の方法
カポジ肉腫の原因であるHHV-8の感染については、まだ解明されていない部分も多いです。しかし、日本国内でのHHV-8感染率はそれほど高くなく、また仮に感染したとしても通常はまったくの無症状です。
日本国内におけるカポジ肉腫患者は、がん治療や臓器移植において免疫抑制剤を使用したことや、HIV感染症などにより著しく免疫力が低下したことがきっかけとなっているケースが大半です。
AIDS関連型のカポジ肉腫は、日本国内ではその多くが男性であると報告されていますが、女性に発症が見られないわけではありません。
したがって、カポジ肉腫を予防するには、HIVウイルスの感染予防がもっとも重要といえるでしょう。
不特定多数の人との性行為は避ける、性行為をするときはオーラルセックスを含め、必ずコンドームを装着するなど、感染を防ぐ意識が大切です。
HIV感染が疑われる場合は、すみやかに検査や治療を受けるようにしましょう。HIV感染症(エイズ)の早期治療により、免疫低下を防ぐことができれば、カポジ肉腫の発症リスクを下げることができます。
関連する病気
急性HIV感染症
中枢神経系原発悪性リンパ腫
HIV関連キャッスルマン病
HIV感染血小板減少性紫斑病
参考文献
The Journal of AIDS Researchエイズに合併するカポジ肉腫などのHHV-8 関連疾患に対する治療の手引き
The Journal of AIDS ResearchAIDS関連悪性疾患とHuman herpesvirus-8AIDS-Related Malignancies and Human Herpesvirus-8
あたらしい皮膚科学第3版2.Kaposi肉腫
日本医療研究開発機構エイズ対策実用化研究事業カポジ肉腫
国立研究開発法人エイズ治療・研究開発センター日和見疾患の診断・治療
配信: Medical DOC
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