監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
直腸がんの概要
直腸がんとは、結腸がんとともに高頻度に発現する大腸がんの一種です。直腸がんは、腺腫という良性のポリープががん化するものと、正常な粘膜ががん化して発生するものに分けられます。。直腸は肛門から約15〜20cmの部分を指し、この領域にがんができると、排便機能に大きな影響を及ぼします。
直腸がんは、男女問わず40歳頃から発症率が高まり、最近では若年層にも直腸がんが増加傾向にあります。全国がん登録罹患データによると、2019年のデータでがんの罹患数は男性で5位、女性で7位となっており、男女の総数では6位となっています。また、2022年の死亡数のデータによれば、男性は7位で女性は10位、総数は8位と、がんの中でも非常に危険性の高い疾患です。罹患数が高まっている要因として、生活習慣の乱れや食生活の欧米化が影響していると考えられます。直腸がんの発症にはさまざまな要因が関与しているため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。
直腸がんの発症率は年々増加傾向にありますが、がんの早期発見と適切な治療により、直腸がんの5年生存率は男女ともに90%以上を超えます。また、進行がんに対する新しい治療法の開発も進められており、直腸がんに対する正しい知識を持ち、適切な予防策を講じることが大切です。
直腸がんの原因
直腸がんの発症にはさまざまな要因が関与しています。遺伝的要因として、家族に大腸がんの患者さんがいる場合には発症リスクが高まります。また、生活習慣とも大きな関わりがあると言われ、喫煙や飲酒、肥満、運動不足などが直腸がんの発症率を高めているのです。
食生活の例としては、赤身肉や加工肉の過剰摂取が直腸がんのリスクを高めることが示されています。一方で、野菜や果物、食物繊維を多く含む食物では直腸がんの発症リスク低下が期待できます。また、肥満は直腸がんのリスクを高める要因とされ、体重管理も大切です。
他にも、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の方や、過去に大腸にポリープが発見されたことがある方は、直腸がんの発症リスクが高まります。炎症性腸疾患の適切な管理や、ポリープを早期に発見・切除することで直腸がんの予防につながるのです。
生活習慣の改善や、定期的ながん検診を受けることが直腸がんの予防に有効です。特に、40歳以上の方や家族に大腸がんの患者さんがいる場合は直腸がんを罹患するリスクが高いため、初期症状が出ていないか日常生活から注意を払いましょう。
配信: Medical DOC