直腸がんの治療
直腸がんの治療は、がんの進行度やがんの性質、患者さんの全身状態に応じて選択されます。主な治療法には内視鏡治療、外科手術、放射線治療、薬物療法があります。0〜Ⅲ期までの直腸がんであれば、内視鏡治療や外科手術を行うことが多いです。他の臓器に遠隔転移がみられるⅣ期のがんの場合、原発巣と遠隔転移巣の外科手術が行えるかどうかをはじめに精査します。その後、遠隔転移巣の切除が可能でも原発巣の切除が不可能な場合、原則として薬物療法や放射線治療が選択されるのです。また、肛門に近いところにがんができた時には、人工肛門(ストーマ)造設することもあります。
放射線治療には、補助放射線療法と緩和的放射線療法があります。補助放射線治療は術後の再発抑制や術前の腫瘍量減少、肛門の温存が目的です。また、緩和的放射線治療は痛みや吐き気、めまいなどのがんの再発や転移の症状を緩和などが期待できます。薬物療法は術前の再発を防ぎ、全身療法としてがんの進行を抑制し、症状の軽減や延命を目指して実施されます。最近では、分子標的薬や免疫療法などの新しい治療法も開発されており、患者さんの状態に合わせた治療が選択可能です。
直腸がんの治療においては手術の技術も予後に関係してきます。腹腔鏡下手術やロボット支援手術など、患者さんへの負担を軽減するために新しい技術が導入され、入院期間の短縮や早期回復が可能です。また、多職種の連携による包括的な治療が行われ、患者さんのQOL(生活の質)の向上が期待できます。
直腸がんになりやすい人・予防の方法
直腸がんになりやすい人の特徴
直腸がんになりやすい人にはいくつかの特徴があります。例えば、家族に大腸がんの患者さんがいる場合や、過去に大腸ポリープや炎症性腸疾患を患ったことがある場合はリスクが高い傾向にあります。喫煙や飲酒、食生活の乱れ、運動不足、肥満などもリスク要因といえるでしょう。
予防方法
予防のためには、減塩や野菜の摂取などの食事の見直し、適度な運動、禁煙、節酒、適正体重の維持が推奨されます。
肥満予防のために日常的に運動を取り入れ、健康的な体重を維持することで直腸がんのリスク軽減が期待できます。これに加えて、禁煙も直腸がんの予防において重要です。喫煙は多くのがんのリスクを高める要因であり、直腸がんも例外ではありません。
定期的な検査
40歳以上の方やリスクが高いとされる方は積極的に検査を受けることで、直腸がんの早期発見や予防につながります。年に一回はがん検診を受けることをおすすめします。
炎症性腸疾患
腺腫
腸閉塞
リンパ節がん
ポリープ
参考文献
大腸がんとは|国立がん研究センター
がん情報サービス|国立がん研究センター
科学的根拠に基づくがん予防|国立がん研究センター
大腸|国立がん研究センター
がん診療ガイドライン|日本癌治療学会
配信: Medical DOC
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