好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の前兆や初期症状について
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の前兆や初期症状は、多くのケースでアレルギー性鼻炎や気管支喘息の発症にともなう呼吸器症状が生じます。
アレルギー性鼻炎や気管支喘息が発症してから、3年以内に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症を発症するケースが多いといわれています。
(出典:一般社団法人 日本循環器学会「血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版))
アレルギー性鼻炎や気管支喘息を発症した後は、次第に好酸球が増加していき、体重減少や発熱、運動障害、腹痛などの症状があらわれるようになります。なかでも、多発性神経炎による症状が多くのケースで生じる傾向があります。
最終的には前述した症状に加え、間質性肺炎や虚血性心疾患、心筋炎、腹膜炎、関節痛、脳血管障害など、幅広い症状があらわれるのが特徴です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の検査・診断
1998年厚生省によるアレルギー性肉芽腫血管炎(名称変更前の「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」)の基準を満たしている場合に、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と診断されます。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の診断基準は、臨床所見として気管支喘息やアレルギー性鼻炎、好酸球の増加、血管炎に伴う症状が見られるかどうかが重要なポイントです。血管炎による具体的な症状としては、以下が挙げられます。
38℃以上の発熱が2週間以上の継続
6ヵ月以内に6kg以上の体重減少
多発性単神経炎
消化管出血
紫斑
多関節痛や関節炎
筋肉痛や筋力低下
気管支喘息やアレルギー性鼻炎→好酸球の増加→血管炎という順に発症するのが典型的な経過です。組織所見としては、好酸球浸潤をともなう細い血管の肉芽腫性またはフィブリノイド壊死性血管炎、血管外肉芽腫が見られます。
確実な診断には、前述した臨床所見の3項目と組織所見を満たす必要があります。
また、参考となる所見としては、白血球や血小板の増加、血清IgEの上昇、MPO-ANCA(自己抗体)やリウマトイド因子の陽性反応、肺浸潤陰影が挙げられます。
診断基準を満たすかどうか調べるために、下記の検査を行います。
診察
はじめに患者の症状や病歴を確認します。気管支喘息やアレルギー性鼻炎の有無、体重減少や発熱などの全身症状、多発性単神経炎や筋肉痛の有無などを聞き取ることが重要です。
聴診や触診で、気道や肺の異常音がないか、身体に紫斑が見られるかどうかも確認します。
血液検査
血液検査では、好酸球や白血球、血小板、血清IgEの数値に異常がないかを確認します。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症では、これらの数値の異常な上昇が見られるのが特徴です。また、MPO-ANCA(抗好中球細胞質抗体)やリウマトイド因子が陽性かどうかの判断にも役立ちます。
画像検査
肺の状態を確認するためにレントゲンやCTでの検査を行います。好酸球が肺まで影響している際は、肺にぼやっとした影が確認でき、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の診断の重要な所見となります。場合によっては、他の臓器の状態を確認するためにMRIや超音波検査が行われることもあります。
配信: Medical DOC