斜頸の治療
斜頸の治療は斜頸の種類によって異なります。
先天性筋性斜頸の治療
先天性筋性斜頸の場合、多くは1歳半までに症状が消失するため特別な治療は必要ありません。子どもによって左右のどちらかを向きたがる向き癖があるため、向き癖の反対側からの呼びかけなどによって修正するように心がけてください。まれに成長しても斜頸が改善しないケースがあり、その場合は手術や装具で矯正します。
痙性斜頸の治療
痙性斜頸はジストニアが原因で発症するため、筋肉をコントロールする神経に対して治療をおこないます。保存療法では内服やボツリヌス注射などで筋肉の緊張を低下させます。保存療法で効果が乏しい場合、外科的治療として脳への電気刺激や脊髄への薬の投与(バクロフェン髄腔内投与療法)などによって筋肉の緊張緩和を図ります。
骨性斜頸の治療
骨性斜頸の治療では、痛みや痺れなどの自覚症状が乏しければストレッチや体幹の筋力トレーニングをおこないます。骨性斜頸に伴う神経症状や痛みなどが出現し、日常生活に支障をきたす場合は手術が適応になります。
炎症性斜頸
炎症性斜頸は中耳炎や扁桃炎などを発症した後、急速に斜頸が出現するため、斜頸の症状が見られてからできるだけ早く治療を進める必要があります。頚椎カラーという頚椎のコルセットを巻いて安静にし、消炎鎮痛剤を内服します。それでも改善しなければ、頚椎の牽引を行います。場合によっては入院が必要となることもあります。
眼性斜頸
眼性斜頸は眼の筋肉を鍛える治療をします。具体的には焦点を合わす練習や、視線のずれを解消するメガネやコンタクトレンズを使用します。斜視が強い場合には斜視を治す手術も適応になります。
斜頸になりやすい人・予防の方法
以下の特徴がある人は斜頸になりやすいです。
側湾症がある
風邪を引きやすい
斜視がある
先天性筋性斜頸や痙性斜頸の明確な予防方法はありません。
骨性斜頸では、首周りのストレッチや筋力トレーニングが予防につながります。ゆっくり首を左右に倒したり、捻ったりしてみてください。顎(アゴ)を引いて良い姿勢を保つだけでも首の筋肉に良い刺激になります。
炎症性斜頸を予防するためには手洗いなどの感染予防対策や、規則正しい生活を心がけて風邪を引かないような対策をしましょう。
斜視がある場合は、眼科で適切な視機能訓練を続けて、眼性斜頸の予防に努めてください。
ジストニア
斜視
参考文献
日本整形外科学会斜頸
日本弱視斜視学会斜頸
日本弱視斜視学会上下斜視
日本定位・機能神経外科学会ジストニア
難病情報センタージストニア
配信: Medical DOC
関連記事: