E型肝炎の治療
特別な治療はなく、急性肝炎に対する対症療法が中心となりますが、劇症肝炎になった場合には血漿交換などの処置が必要になる場合があります (参考文献 2)。
対症療法としては、肝炎ウイルスの活動が落ち着くまで肝臓を休めるために入院して安静に過ごしたり、肝臓に負担をかけないための栄養バランスを調整したり、口から栄養をとれない状態の方は点滴での輸液をするといった治療をします (参考文献 3) 。
E型肝炎になりやすい人・予防の方法
E型肝炎ウイルスの感染経路を考えると、日本において発症リスクが高い人は、流行地域への渡航歴のある人や、ジビエ料理をよく食べる人といえるでしょう。
E型肝炎の流行地域ですが、一般的には赤道近くのアジア地域やアフリカ、メキシコなどで高レベルの流行が確認されています (参考文献 4) 。季節による差もあるようで、中央アジアでは秋に流行がみられるほか、東南アジアでは雨季に流行し、特に広い地域で洪水が起こった後に感染者が増えやすいことが知られています (参考文献 5)
狩猟をされる方はジビエ料理との関わりが多いかと思いますし、狩猟をしない人でも旅行先でジビエ料理が提供されることがあります。普段口にすることのない新鮮なジビエ料理はとても美味しく、独自の文化と強く結びついていることも多いですが、身体にやさしくジビエ料理を楽しむためには十分に加熱したものを頂くことが重要といえるでしょう。
E型肝炎ウイルスに対するワクチンが開発されていないため、A型肝炎のように渡航前の予防接種での感染予防はできません。
感染予防のためには「糞口感染」の経路を経つことが重要です。
流行地域に旅行する際には、口にするものが衛生的かどうかに気を配りましょう。基本的には十分に加熱されたもののみ食べるようにし、飲み物もペットボトル飲料などの衛生的と思われるものを選ぶようにしましょう (参考文献 2) 。フルーツなども洗うために使った水が衛生的ではないことがあるので注意してください (参考文献 4) 。
狩猟でとれた動物の料理をいただく場合も、しっかり加熱調理することが予防のために重要です。E型肝炎ウイルスは80℃で2分間以上加熱することで失活化することが可能です (参考文献 1) 。
参考文献
1.一般社団法人 日本感染症学会. 症状からアプローチするインバウンド感染症への対応 感染症クイックリファレンス E型肝炎
2.国立感染症研究所. E型肝炎とは
3.国立研究開発法人 国立国際医療センター 肝炎情報センター
4.厚生労働省検疫所 FORTH. E型肝炎 (Hepatitis E)
5.厚生労働省. E型肝炎ウイルスの感染事例・E型肝炎Q&A
配信: Medical DOC
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