「白内障の手術費用」はどれくらい?保険適用や自由診療の場合も解説!【医師監修】

「白内障の手術費用」はどれくらい?保険適用や自由診療の場合も解説!【医師監修】

白内障は、眼球の中にある水晶体が白く濁る病気です。

水晶体は、カメラに例えるとレンズの役割をしています。水晶体が白く濁ると視力が低下し、進行すると生活に支障が出てしまいます。

白内障は自然治癒することはありません。進行すると手術で治す必要があります。

手術は宿泊で行う場合もありますが、日帰りでも可能です。手術内容は、水晶体の内側にある濁ったレンズを削り取り、眼内レンズを入れるという処置になります。

白内障の手術が必要になったときに、気になるのが手術の費用です。保険適用の場合と自由診療の場合の費用の違いも気になるでしょう。

この記事では、白内障手術の費用の目安や、保険適用と自由診療による違いについて詳しく解説します。

白内障手術を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

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監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

白内障の手術費用や目安

白内障について教えてください。

白内障は、目の中にある水晶体が濁ってしまう病気です。水晶体はカメラに例えるとレンズの役割をしており、目に入る光を屈折させて網膜に集中させています。白内障の主な症状としては、景色が霞んで見えたり、ライトが通常よりも眩しく見えたりといったことがあります。その他眼鏡を変えても視力の改善がなかったり、老眼があるはずなのに近くがよく見えたりすることも、白内障の影響が疑われるでしょう。白内障の原因の多くは、加齢によるものです。70歳以上の方の約8割が白内障になっており、80歳以上であれば、ほぼ全員が少なからず白内障の症状が出ているといわれています。加齢以外の原因として、先天性の場合や目の傷、糖尿病から白内障になることもあります。紫外線も白内障の原因のひとつです。気になる症状があったり、年齢が70歳を超えていたりする場合には、一度眼科へ受診した方がよいでしょう。

白内障の手術費用について教えてください。

手術費用は、眼内レンズが単焦点レンズか多焦点レンズかによって変わります。単焦点レンズとは、遠方か中間か近方のどれかにのみ焦点を合わせたレンズです。多焦点レンズとは、遠方と近方の両方に焦点を合わせたレンズです。手術費用は単焦点レンズの方が安く済みますが、遠方か近方の少なくともどちらかは必ず見えづらくなるので、眼鏡などで見えづらいところを補う必要があります。多焦点レンズであれば遠方と近方の両方に焦点が合いますが、手術費用は単焦点レンズと比べて高額になります。費用も確認しながら、医師と相談してどちらにするか選ぶとよいでしょう。手術は日帰りで行うこともできますが、病院によっては宿泊での手術も可能です。宿泊での手術を受ける場合には、手術費用とは別に宿泊費用も必要になります。宿泊を希望するのであれば、宿泊費用も事前に確認しておくことが重要です。

白内障の手術費用の目安はどのくらいになりますか?

日帰り手術の場合
日帰り手術は現在、白内障手術の主流となっています。保険適用の単焦点レンズを使用した超音波手術の場合、費用は以下のようになります:

自己負担割合1割: 片目約1万5千円

自己負担割合2割: 片目約3万円

自己負担割合3割: 片目約4万5千円

入院を伴う手術の場合
入院を伴う場合は、手術費用に加えて入院費用が発生します。1割負担の方の場合の概算は以下のとおりです:

片目手術: 約23,000円 + 差額ベッド代 + 食事代

両目手術: 約38,000円 + 差額ベッド代 + 食事代

自由診療の場合
保険適用外の多焦点レンズを選択した場合や、レーザー手術を選択した場合は自由診療となり、費用は大幅に高くなります:

超音波白内障手術: 片目約40万円〜60万円

レーザー白内障手術: 片目約50万円〜70万円

なお、高額医療費制度により、一定額を超えた医療費は還付される仕組みがあります。また、同一月に同一世帯で発生した医療費は合算できる場合があるため、実際の自己負担額は軽減される可能性があります。​​詳しい費用については手術を行う眼科医院に聞いて事前に確認しておくとよいでしょう。

白内障の手術費用の違い

白内障の手術費用の違いは何によるものですか?

手術費用は、保険診療であっても健康保険の自己負担割合は年齢によって異なります:

75歳以上: 原則1割負担

70〜74歳: 原則2割負担

70歳未満: 3割負担

ただし、所得に応じて負担割合が変わる場合があります。
また、眼内レンズの種類によって大きく変わります。眼内レンズの種類は、主に単焦点レンズと多焦点レンズがあります。単焦点レンズは保険の適用が可能です。そのため手術費用の負担は自己負担分のみで済みます。多焦点レンズは保険が適用されません。手術費用は選定療養もしくは全額自費負担となるため、費用が高額になりやすいです。片目のみの手術の場合は日帰りでも可能ですが、両目の手術が必要だったり、自宅が遠方だったりする場合は宿泊が必要になります。宿泊する際には、手術費用とは別で宿泊費用が必要になります。

保険適用での手術費用について教えてください。

単焦点レンズでの白内障手術には保険が適用されます。白内障手術は、水晶体を削る際に超音波で削る方法とレーザーで削る方法があり、保険の適用範囲が変わってきます。超音波手術の場合は、レンズ費用と手術費用の両方が保険の適用範囲です。レンズ費用と手術費用を合わせた自己負担額は、保険の負担割合によって変わります。片眼のおおよその合計自己負担額は以下のとおりです。

1割負担:約13,000円〜15,000円

2割負担:約26,000円〜30,000円

3割負担:約39,000円〜45,000円

レーザー手術の場合は、保険が適用されません。片眼のおおよその合計自己負担額は以下のとおりです。

250,000円〜350,000円(税込)

超音波での手術の場合と、レーザーでの手術の場合とで、合計した自己負担額が大きく変わってきます。手術費用については事前に医師に相談した方がよいでしょう。

選定療養による手術費用について教えてください。

選定療養とは、厚生労働省が承認した多焦点レンズでの手術のことを指します。多焦点レンズにすると、単焦点レンズにした場合とは違い、治療後に眼鏡やコンタクトレンズを使わなくても遠方と近方の両方に焦点が合います。しかし全額自己負担となるため、手術費用は単焦点レンズと比較し高額です。片眼のおおよその自己負担額は以下のとおりです。

200,000円〜300,000円(税込)

自由診療でかかる手術費用について教えてください。

自由診療になるのは、厚生労働省未承認の多焦点レンズの場合です。厚生労働省未承認の多焦点レンズとは、ヨーロッパで作られた高機能の多焦点レンズのことを主に指します。これらは自由診療となり、費用も選定療養の多焦点レンズよりもさらに高額になります。片眼のおおよその自己負担額は以下のとおりです。

400,000円〜700,000円(税込)

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