セリアック病の前兆や初期症状について
セリアック病の前兆や初期症状は多岐にわたります。小腸が炎症を起こし絨毛(じゅうもう:小腸の内側にある栄養素を吸収する小さなヒダ)が平らになることで、消化器症状や栄養の吸収不良などさまざまな症状が現れます。
下痢
鉄欠乏性貧血
腹満感
体重減少
易疲労感
嘔吐
抑うつ
皮膚症状
骨粗鬆症
精神症状(てんかんや統合失調症)
不妊
関節炎
神経症状
子どもで発症すると、成長障害を起こすこともある一方で、無症状のケースもあります。
セリアック病は、日本での認知度が低いため、下痢や腹満感などの症状から過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など他の病気と診断され見過ごされることもあります。
また、うつ症状や不安感といった精神的な影響が現れることもあり、これらが生活の質を低下させる要因になります。
セリアック病の検査・診断
セリアック病には、統一された診断基準はありません。
血液検査や内視鏡検査(いわゆる胃カメラのこと)などの検査結果や、グルテンを除去した食事療法で症状が改善するかなどから総合的に判断して、セリアック病と診断されます。
セリアック病の患者さんはグルテンを含む食事を摂ると、体内で特定の抗体(体内に侵入した異物を排除するタンパク質)が生産されます。
血液検査では、その抗体である「抗tissue transglutaminase(TG)-2 特異的 IgA 抗体」が検出されるかどうかを確認します。
この抗体が検出された場合は、診断確定のために内視鏡検査が行われます。内視鏡を用いて食道や胃、十二指腸を観察します。
また、内視鏡検査に併せて小腸の生検(一部の組織を採取して顕微鏡で検査すること)も行い、絨毛の損傷の程度や異常所見の有無を確認します。
遺伝子検査(細胞を採取して遺伝子の変化を調べる検査)によってHLA-DQ2またはHLA-DQ8の存在を確認することもありますが、主に診断を補助するために行われます。
さらに、グルテンが含まれた食事を控えることで、症状が改善するかどうか確認することは診断指標のひとつです。
セリアック病の診断は迅速かつ正確に行うことが重要です。適切な診断が行われない場合、長期間にわたり症状が悪化し、健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、疑わしい症状がある場合は早めに医師に相談し、適切な検査を受けることが推奨されます。
配信: Medical DOC