遅発性ジスキネジアの治療
遅発性ジスキネジアの治療は、原因となっている薬剤の減量または中止、他薬剤への変更、症状をおさえるための対症療法の3つです。治療法は、症状の程度など患者の状況により検討されます。
原因薬剤の減量または中止
可能であれば、原因薬剤を中止することが望ましいと考えられています。
薬を中止したり減量したりする場合、治療をしていた精神疾患の症状が再発したり悪化したりする可能性もあるため、慎重に検討する必要があります。
また急に薬を止めると、遅発性ジスキネジアの症状が悪化することもあるため、自己中断せずに必ず医師に相談しましょう。
他の薬剤への変更
第一世代抗精神病薬を内服している場合や、精神症状がひどく抗精神病薬を減らすことができない場合には、非定型抗精神病薬へ変えることを検討します。
また原因となっている特定の薬剤を、副作用の少ない薬剤へと変更することもあります。
症状をおさえるための治療
遅発性ジスキネジアの症状をやわらげるために、薬物治療や手術治療が検討されます。
薬物療法に関しては効果を認められた薬は多くありませんが、以下の薬の有効性が報告されています。
GABA作動薬(クロナゼパム)
アマンタジン塩酸塩
テトラべナジン
バルベナジン
ビタミンB6やビタミンEの補充
遅発性ジスキネジアになりやすい人・予防の方法
以下に当てはまる場合、遅発性ジスキネジアの発症リスクが高まるとされています。
高齢者
アルコール歴がある
気分障害やてんかんがある
頭部外傷などの器質的な脳病変がある
抗精神病薬の内服期間が長い、内服量が多い
遅発性ジスキネジアは一度発症すると治りづらいため予防することが重要です。また早期に症状に気づき、治療につなげることで重症化を防ぐことができます。
遅発性ジスキネジアの予防と早期発見のために、以下を心がけましょう。
ストレスを溜めない
遅発性ジスキネジアは興奮している時やストレスが強くかかっている状況で症状が強く出ることがあります。そのためなるべくストレスを溜めないように日常生活を送りましょう。
治療は薬物療法だけに頼らない
もともとの病気の治療を、薬だけでなくカウンセリング等も並行することを検討しましょう。病状を悪化させる可能性がある、ストレスに対処する方法を学ぶことも大切です。
ストレス解消法について学ぶ
ストレスを感じたときには、体を動かす、今の気持ちを書いてみる、深呼吸する、なりたい自分に目を向ける、音楽を聞くなどを実践してみましょう。つらい時には1人で我慢せず、誰かに話すことも立派なストレス解消法の一つです。
家族にも抗精神病薬の副作用を伝える
遅発性ジスキネジアの症状は自分ではわかりづらいものもあります。家族にも抗精神病薬の副作用について理解してもらい、遅発性ジスキネジアの症状がでていないか気にかけてもらうようにしましょう。
変わった症状が現れたら主治医へ相談する
小さなことでも「なにかおかしいな」と思ったことは、早めに主治医へ相談しましょう。気になる症状をメモしておくと、診察の際に慌てずに医師へ伝えることができます。
関連する病気
アカシジア
呼吸性ジスキネジア
食道ジスキネジア
参考文献
厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル ジスキネジア 平成21年5月(令和4年2月改訂)
こころと体のセルフケア|厚生労働省
配信: Medical DOC
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