小さい子が泣いているとき、「そんなことで泣かない!」「恥ずかしいから泣かないの!」と怒るお母さんを、時々見かけます。でもちょっと待ってください。泣くという行為で発散させようとしていたストレスを、我慢させることでため込むことになってしまいます。
人前で泣くと恥ずかしい、というのは親の建て前。恥ずかしいのは実はお子さんじゃなくて親の方なのかも…? 泣くことは恥ずかしい行為ではありませんし、幼少期は泣くことに羞恥心はありません。
泣くという行為は、ストレス解消はもちろん、リラックス効果もあるといわれています。最近は「涙活」という、涙を流すことによって心のデトックスを図る活動もあるとか。子どもよりも大人の方が泣きたがっているのかもしれません。
大切なのはお母さんの共感
子どもが泣きやまないときは、「泣かないの!」ではなく「痛かったね」「悔しかったね」などと、まず共感してあげてください。お母さんに共感されるだけで子どもは落ち着きを取り戻します。それでも泣きやまないときは「泣け泣けたくさん泣ききれ~」などと希望とは反対の言葉を使うと、意外に泣きやんだりします(笑)。
また人間の本能は、新しい情報に反応する習性があるので、まったく違う遊びをする、違う場所に移動するなど、注意を他に向けるということをするのも手です。
人に迷惑がかかる場合は別ですが、大人になったら泣けないシチュエーションが山ほどあるのだから、自由に泣ける今、思う存分泣けるだけ泣かせてもいいのではないかと思うのです。
日本人は「みんなと同じが安心」と思うせいか、人と違った行動や意見は恥ずかしいと思ったり、感情を表に出さずにいたり、謙遜や謙虚さも美徳とされてきました。笑ったり泣いたり怒ったり困ったり、表情がくるくる変わるのは感情が豊かな証拠。この感情の豊かさこそ、表現力の源となるのです。幼いころから感情が解放されていると、自分の考えを外に出すことも苦でなくなってくるので、ますます表現力が豊かになってきます。表現力はコミュニケーションや人前で何かを表現するプレゼンテーションするのにも役立ち、将来的に勉強や仕事にも関係してきます。
幼少期は子どもが感情を外に出すことをぜひ止めないでほしいものです。