腹膜がんについてよくある質問
ここまで腹膜がんを紹介しました。ここでは腹膜がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
腹膜がんの原因を教えてください。
中路 幸之助(医師)
腹膜がんは、腹膜の組織や卵管の組織から発生するがんです。具体的な発生メカニズムはいまだ解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
・遺伝的要因:BRCA1やBRCA2遺伝子の変異が腹膜がんの発症リスクを高めるとされています。これらの遺伝子は、細胞の成長や修復に重要な役割を果たしており、変異があるとがん細胞の増殖が抑制されにくくなります。
・腹部手術:過去の腹部手術が腹膜がんのリスクファクターとなることがあります。手術による腹膜への影響が、がんの発生に関与する可能性があります。
・炎症性疾患:慢性的な炎症性疾患も腹膜がんのリスクを高めます。持続的な炎症が細胞の変異を引き起こし、がん化を助長する可能性があります。
・アスベスト曝露:腹膜中皮腫というタイプのがんでは、アスベストへの曝露が強いリスクファクターとなります。アスベストは、長期間の吸入や摂取によって体内に蓄積し、がんを引き起こします。
・ほかの要因:生活習慣や環境要因も影響する可能性がありますが、具体的な関連性は明確ではありません。
腹膜がんの予後について教えてください。
中路 幸之助(医師)
腹膜がんは稀な疾患であり、卵巣がんと類似の特徴を持ちますが、予後は良くありません。
腹膜がんは初期段階では症状がほとんど現れず、診断が遅れがちです。そのため、発見された時点ですでに進行していることが多く、治療が困難になります。
がんの進行度が高い程予後は悪化します。広範囲に転移しやすく、腹膜全体に広がる傾向があるため、切除が難しいことが多いようです。がんが腹腔内に広がり、ほかの臓器にも影響を及ぼす場合、治療が一層複雑になります。
また、腹膜がんは再発率が高いです。再発した場合、治療の選択肢が限られるため、定期的なフォローアップと早期の再発検出が重要です。
まとめ
腹膜がんの転移についてお伝えしてきました。
腹膜がんの転移の要点をまとめると以下のとおりです。
・腹膜がんとは、腹部を覆う腹膜から発生する稀な悪性腫瘍
・がん性腹膜炎とは、がんが腹膜に転移した状態を指す
・腹膜がんとがん性腹膜炎は診断が難しく、確定診断には病理検査が重要であり、早期発見と治療が鍵となる
配信: Medical DOC