「食道静脈瘤」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「食道静脈瘤」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
長田 和義(医師)

2012年、長崎大学医学部卒業。消化器内科医として、複数の総合病院で胆膵疾患を中心に診療経験を積む。現在は、排泄障害、肛門疾患の診療にも従事。医学博士、日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。

食道・胃静脈瘤の概要

食道および胃静脈瘤は、それぞれの粘膜の下にある静脈が異常に太く拡張した状態のことをいいます。
稀ではありますが、十二指腸にも静脈瘤が形成されることがあります。
食道静脈瘤では、通常はまず胃と食道の境目あたりから拡張した線状の血管が現れ、悪化していくに従ってより上の方まで進展し、太まって瘤状になっていきます。

胃静脈瘤では、胃の入口付近から太い血管が出現して広がっていき、進行すると大きな瘤状の静脈が連なったような形になります。
食道と胃の静脈瘤が同時に存在したり、それぞれが繋がっている場合もあります。
静脈瘤の状態になると、静脈の中の圧力が高まる一方で壁が薄くなっており、静脈の壁が表面の粘膜ごと破裂して大出血を引き起こすことがあります。

このように、食道および胃の静脈瘤は消化管出血の原因として重要であり、適切な管理と治療が必要です。

食道・胃静脈瘤の原因

主に「肝硬変」などにより、お腹の中の内臓から肝臓に向かう血管である「門脈」の圧力(門脈圧)が高まって血流が滞ることが原因です。
このような状態になると血液は他の静脈へ迂回しようとし、「側副血行路」という正常ではあり得ない太い静脈の迂回路が形成されます。
このようにして、食道や胃においても圧力がかかり続けて形成された太い血管が、内腔から線状ないし瘤状にして見えるようになります。

肝硬変とは

肝硬変とは、B型慢性肝炎やC型慢性肝炎、近年ではアルコール摂取や脂肪肝などで肝臓に長年の炎症がおきることで、肝臓の組織が硬く線維化してしまった状態のことをいいます。
肝硬変では、肝臓が本来担っている栄養を貯蔵して代謝する機能、有害な物質を処理する機能などが低下してしまい、様々な異常を引き起こします。
肝臓の組織が線維化することで、肝臓の中にも細く張り巡らされている門脈の流れが悪くなり、上流の太い門脈から内臓の静脈の圧力が高まっていくことになり、静脈瘤や腹水の原因になります。

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