「食道静脈瘤」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

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食道・胃静脈瘤の治療

食道・胃静脈瘤の治療法は、内視鏡によるものと血管内カテーテルによるものがあります。
治療法の選択は、治療を行う静脈瘤の部位(食道か胃か)、出血時の緊急治療か非出血時の予防的治療か、側副血行路の状態などで変わります。
また、肝硬変など静脈瘤の原因に対する薬物療法が重要であり、門脈圧を低下させるための薬物療法を併用する場合があります。

内視鏡治療

●EVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)
主に食道の静脈瘤に対して、破裂して出血しているときの止血目的、あるいは出血の予防目的の両方で行われます。
内視鏡の先端にゴム製のリングを取り付けておき、静脈瘤の出血している箇所、または出血リスクが高いと考えられる個所をそのリングで縛ります。
直ちに血流が遮断されてその部分の静脈瘤はなくなっていき、粘膜もいったん脱落してから硬い瘢痕として再生し、再出血しにくくなります。
EVLを行っても別の個所の静脈が拡張してくることが多く、内視鏡で経過観察して追加のEVLを繰り返していく場合が多い傾向です。

●EIS(内視鏡的硬化療法)
食道静脈瘤や胃静脈瘤に対して内視鏡から専用の針を刺し、造影剤と硬化剤を混ぜた液体を注入して、静脈瘤内の血液を固めて血流を無くしてしまう治療です。
静脈瘤に対する治療効果は高いですが、静脈瘤の状態や肝機能などでEVLに比べて行える条件が限られています。
また食道静脈瘤に対しては出血時に緊急で行われることは少なく、通常は出血の予防目的で行われます。
胃静脈瘤に対してはEVLができないことが多く、出血時の治療としてヒストアクリルという硬化剤を用いたEISが選択されます。

血管内カテーテル治療

●BRTO(バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓)
通常は繋がっていない門脈系の血管(内臓から)と体循環の静脈(筋肉などから)が、門脈圧の上昇による側副血行路のひとつとして繋がってしまうことがあり、これを「門脈大循環シャント」といいます。
この門脈大循環シャントを通って足の静脈から入れたカテーテルを胃静脈瘤まで進め、水風船で逆流を防止しつつ造影剤と硬化剤を混ぜた液を注入し、静脈瘤内の血液を固めて血流を無くしてしまう治療です。
治療効果は高いですが行える条件は限られており、肝機能や造影CTを評価してその都度判断する必要があります。

薬物療法

肝硬変の場合は、肝臓の機能をできるだけ保つための薬物療法が必要です。
静脈瘤に対する治療としては、門脈圧の低下を期待してβ遮断薬やバソプレシン受容体拮抗薬、ARBといった内服薬が併用される場合があります。

食道・胃静脈瘤になりやすい人・予防の方法

これまで述べたように、食道や胃の静脈瘤は肝硬変によって発症する場合が多い傾向です。
以前はウイルス感染によるB型肝炎やC型肝炎による肝硬変が多かったですが、感染率の低下や治療の進歩により、近年では減少しています。
代わりに、アルコール摂取や脂肪肝など生活習慣に関連した肝硬変の割合が増加しています。
節酒や、バランスの良い食事と適度な運動習慣などでの体重管理が重要です。

参考文献

和歌山医科大学 食道・胃静脈瘤

日本内科学会雑誌

日本消化器病学会 肝硬変診療ガイドライン

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