床上浸水による経済的被害
床上浸水での被害は、濡れた家具・電化製品などの家財が使えなくなるほか、エアコンの室外機や給湯器が故障することがあります。濡れた壁の中にカビが生えることもありますので、場合によっては壁の張替えも必要となります。また、床下浸水と同じように床下に入った水や泥のかき出し、消毒、乾燥、断熱材の入れ替えなどの費用もかかります。
もし持ち家が床上浸水にあい、家財の買い替えのほか壁の張替えまで必要となると、数百万円の費用がかかることもあります。これを全額支払うとなると相当負担が大きくなりますので、保険の加入も考えておきましょう。
火災保険の水災補償
台風や大雨による水の被害は、火災保険の「水災補償」によって保証を受けることができます。火災保険には水災補償がついていない契約もあります。保険は「建物」を保証するものと「家財」を保証するものに分けられ、選べるようになっていますのであわせて確認しておきましょう。
また、保険の契約内容によっては、損害額の70%までしか保険金が受けられないものもあります。契約時期が古い場合や、最近の保険でも加入者が支払う保険料を下げるために、水災時の保険金に上限を設けていることがありますので、こちらも確認が必要です。
水災補償で受けられる被害内容についても確認をしておきましょう。
一般的な保険では「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」の場合にのみ補償されます。そのため、「床下」浸水の場合には補償が受けられません。また、被害額が建物や家財の保険価額(保険対象の評価額)の30%を超えない場合も補償が受けられません。
その他の注意点として、地震による津波の被害は水災補償の対象とはならず、地震保険への加入が必要となります。また、同じ土砂災害でも、大雨によるものは火災保険の水災補償、地震によるものは地震保険によって補償されるため注意が必要です。
保険の他にも、国や自治体によって被災者を支える制度があります。
「被災者生活再建支援制度」は建物が受けた被害の程度によって支援金が支給される制度です。
「応急修理制度」は日常生活を送るのに不可欠な最小限の修理をするために、自治体が修理業者を派遣する制度です。しかし、修理を受けられるのは「自ら修理する資力のない世帯を対象」とされていますので、多くの人が利用できる制度とはなっていません。
国や自治体からの支援は金額や修理を受けられる内容も限られていますので、やはり保険に加入しておくことが生活再建への助けとなります。
保険金を受けとる場合にも、国や自治体から支援を受ける場合にも、「どんな被害がおきたのか」を「わかりやすく」写真に残しておくことが大切です。
建物の4方向から写真を撮ること、浸水した位置が分かるよう記録すること、建物の破損箇所や家財の様子をアップで記録するなど、撮影時のポイントを下の記事で紹介していますので参考にしてみてください。
り災証明書と申請のための写真撮影のポイント
水害は地震とくらべると、天気予報やハザードマップによっておこる時期や被害が予測しやすい災害になります。
いざという時にあわてないよう、日頃から準備をしておきましょう。
〇参考資料
国土交通省 水害レポート
水害レポート 2021
国民生活センター 水害で被災したときの公的支援と 保険請求時の注意点
内閣府 防災情報
被災者生活再建支援制度の概要
内閣府 防災情報のページ 被災者の住まいの確保
3-1.災害救助法に基づく応急修理制度(被災した住宅の応急修理)の概要と実績
配信: moshimo ストック
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