具体的にどうやって別れさせるの? 「浮気調査&別れさせ屋」の「銀座レディス1」代表取締役の樋渡聖さんが語ってくれたのは、耳を疑うような大掛かりなプロジェクトだった。
「夫と愛人を別れさせるためには、まず愛人に女性トリック探偵(工作員)が近づき、『友人』になります。愛人の趣味や行動パターンを調べ、スポーツジム通いをしているなら同じスポーツジムに、お茶や日本舞踊、陶芸教室なら、同じ教室に行きます。趣味がないなら、無料お試しクーポンなどをポストに入れ、趣味を作らせるのです」(樋渡さん)
実は銀座レディス1の子会社は映画会社であり、別れさせ工作員はプロの役者が、台本は本物の脚本家が、演技指導は本物の映画監督が行っているそう。
「さらに、コンプライアンスについても専任の弁護士や警察OBが加わり、映画さながらのプロジェクトが始まります。ターゲットのためだけのホテルや高級マンション、その日だけ開くカフェやレストランもあります。男性の部屋っぽく作り上げ、男性のニオイもつけるなどします。必要な場合にはクルーザーもヘリコプターも出します」
なんとも豪華な仕掛けだが、実際、浮気調査の依頼人には有名人なども多いとか。
なぜ「愛人の友人」になるかというと、「愛人の相談相手になり、いろいろ親身に話を聞くうちに、恨みを買わずに、喜んで別れてもらう心理操作を行うからなのだ。
●愛人と別れさせると同時に、自分自身も変わる必要がある
こうして夫と愛人が無事別れたら、めでたしめでたし…かというと、そういうわけにもいかない。
「夫と愛人を別れさせるだけなら、また別の愛人を作るだけです。別れさせ工作と同時に、奥さん自身も変わるカリキュラムをこなしてもらいます。自分自身にも悪いところがあったと認める気づきが大切。いわば生活習慣を変えないといけないのです」
依頼人が行うカリキュラムは、「カウンセリングによる浮気される原因究明」から「専門のヘアメイク、スタイリストをつけての外見的な変身」「マナー講師による、食べ方、テーブルマナーなどの指導」「歩き方や仕草などの指導」「心理セラピストや恋愛カウンセラーによる指導」「パートナーとの距離感や対応、電話、メールなどの指導」など、多岐に渡るとか。
「浮気は、一種の“生活習慣”です。生活習慣を治すには、まず家庭から毎日の習慣を変えること。それには、妻自身が外見や言動、思考、あらゆる面から浮気される要素を変えていくことが必要です。と同時に、夫に愛人と手を切らせること。そして、何より大切なのは、別れさせて安心してしまうのではなく、それを『継続する』こと。浮気されやすい体質にサヨナラをすることが大切です」
「浮気する人・浮気される人」のループを抜け出すには、妻自身も夫婦関係を見直し、努力する必要があるといえそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)