正直面倒に感じることも…子どもの音読にママはどう付き合う?

第3回 じつはスゴかった!? 「音読」の効果
最近の小学生の宿題は、子どもだけでなく親の参加が必要とされているケースが増えている。その代表的なものが「音読」のチェック。特に教科書の音読のチェックは毎日課せられることも多く、忙しいママたちにとってはけっこう大変だ。でも、ママ世代が子どもの頃は、ここまで親が関わる宿題はなかったような…。

●宿題で親の負担が増えたのは親たちの変化の影響も

「最近の小学生の宿題に親の参加が必要になった理由は、おもに2つあります。ひとつは先生の負担を少しでも軽くすること。最近よく言われていますが、現在の教師の労働条件は、とても過酷なのです。もうひとつは、わが子にしっかり向き合っていない親が多く、親にわが子のことを知ってもらいたいという思いがあります」

こう語るのは幼児教育のパイオニアとして多くの指導者を研修する、教育評論家の石川幸夫さん。確かに子どもの宿題にかかわると、自分の子どもがどれくらい勉強を把握しているかなどが、ある程度わかるようになる。

近年は仕事を持つママも増え、なかなか子どもと向き合う時間がとれないケースも多いだろう。さらにテレビやスマホなどの情報があふれ、昔に比べたら親が子どもに目を向けていないかもしれない。つまり、親の参加が必要な宿題が増えたのは、ある意味親たちの変化の影響も大きいのだ。

キッチンにいる親子

●1日5分 音読で子どものために時間をつくろう

しかし仕事を持つなどで忙しいママの場合、音読のチェックもついおざなりになることが多い。家事をしながら子どもの音読を聞いて、なんとなく評価する。そうした状況になっていないだろうか?

「確かにお母さんって忙しいですよね。母親業があり主婦業があり妻の役目もあって、さらに仕事を持っていると社会人としての役割もある。でも音読に必要な時間はせいぜい5分です。5分をわが子のために費やせるかどうかで、親子関係の構築や学力に大きな差がでます。“この時期の子育ては今しかない”ので、子どもに目を向けてほしいと思います」(石川さん 以下同)

また、もし子どもが音読をやりたがらないなら、それでもいいという。

「ただ、『なぜやりたくないのか?』という理由に、耳を傾けてください。そして無理強いをせず、音読カードに『なぜやりたくないか?』という理由を書いてもらう。音読の宿題はできなくても、これなら子どもに目を向けていることになります」

毎日の音読の宿題には、小学生の時期しかできない重要な親子関係の構築や、学力向上の要素がつまっている。ママたちはそれを理解し、忙しくても頑張って1日5分の時間を子どもに費やしてほしい。
(高山惠+ノオト)

お話をお聞きした人

石川幸夫
石川教育研究所代表
幼児教育のパイオニアである水野茂一氏と七田眞氏と共に、日本の幼児教育界で活動。40年に及ぶ実践と研究により、研修指導を行った公立校の教師、塾長、塾講師、幼児教育者数は5万名を越える。毎日更新されている「石川幸夫の教育ブログ」も好評。
幼児教育のパイオニアである水野茂一氏と七田眞氏と共に、日本の幼児教育界で活動。40年に及ぶ実践と研究により、研修指導を行った公立校の教師、塾長、塾講師、幼児教育者数は5万名を越える。毎日更新されている「石川幸夫の教育ブログ」も好評。