河川氾濫への備え 個人でできる防災と事例を紹介

河川氾濫について個人でできる備え

これまでにない大雨は、想定していないスピードや規模の河川氾濫を引き起こすことがあります。一人一人が身を守るための行動をとり、逃げ遅れゼロを目指しましょう。

水位カメラを確認する

国土交通省では「川の防災情報」で全国の無人観測所から送られてくるリアルタイムの水位や、ライブカメラの映像を提供しています。大雨で氾濫が警戒されるときに、増水した川の様子を見に行くのは危険です。スマートフォンなどから河川の状況を確認し、防災行動に役立てましょう。

ハザードマップを確認する

ハザードマップには河川氾濫による被害を最小限に抑えることを目的として、洪水浸水想定区域と想定される浸水の深さ、避難場所と避難経路などが示されています。

洪水浸水想定区域は、洪水によって大きな被害が生じる恐れがある洪水予報河川と水位周知河川が氾濫した場合に、浸水が想定される区域です。

該当するエリアやその付近では、水位に応じて発表される注意報・警報に注意しましょう。

避難場所・避難経路を確認する

ハザードマップを確認し、浸水や土砂崩れの危険が少ない避難場所を何か所かピックアップしておきましょう。自宅から避難場所までの経路をマップに書き込んでみて、氾濫が警戒されている川や、雨水が溜まりやすいアンダーパス、土砂災害の危険がある斜面の近くなどを通らないか、避難経路の安全を確認しておくことも大切です。

自治体が指定する避難場所に限らず、安全が確保できる場所であれば親戚の家やホテルなどに避難をしても問題ありません。

家族との連絡方法を確認する

災害発生時には、停電の影響や回線の混雑などにより携帯電話・スマートフォンがつながりにくくなる恐れがあります。NTT東日本と西日本が共同で運営する災害用伝言ダイヤル(171)や、災害用伝言板(web171)、大手携帯電話各社が運営する災害用伝言板などを利用して連絡を取り合う方法を、家族と話し合っておきましょう。

災害用伝言ダイヤル(171)ならびに災害用伝言板(web171)では、毎月1日と15日、正月3が日などを体験利用日としています。いざというときに使い方に戸惑うことのないよう、家族が集まる機会に使い方を確認しておくとよいでしょう。

防災グッズを準備する

水と非常食、現金、常備薬、着替えなどを入れた非常持ち出し袋を用意して、すぐに避難ができるようにしておきましょう。雨の中を避難する際は、強風にあおられて転倒する恐れのある傘はささずに、レインウェアを着用するのが望ましいです。長靴は浸水時に水が入ると重たくて歩けなくなるので、靴はひもつきのスニーカーにしましょう。

河川の氾濫によって、停電や断水が発生することもあります。LEDライト、モバイルバッテリー、携帯ラジオ、カセットコンロなども準備ておきましょう。

マイ・タイムラインをつくる

タイムラインとは、災害が発生することを前提として、「いつ」「誰が」「何をするべきか」に着目した防災行動計画です。

自宅のあるエリアの浸水リスクや、その人の年齢、健康状態、家族構成などによっても、とるべき防災行動は一人一人異なります。河川が氾濫して災害が発生すると想定される時点からさかのぼって、自分や家族が安全に避難するためにはいつ避難を開始するとよいか、その時間に避難を開始するためには、いつまでに避難場所を決めて、荷物の準備を始めるべきかという個々のスケジュール「マイ・タイムライン」を立てましょう。

実際に災害の危険が迫っているときには、タイムラインを目安として、状況に応じて柔軟な行動を心がけてください。

まとめ

河川の氾濫は水位が堤防を越えたとき、堤防が決壊したときに一度に起こります。あらかじめハザードマップで浸水のリスクを確認しておき、大雨や台風のときは河川の水位に応じて発表される注意報・警報に注意しましょう。

逃げ遅れを防ぐために、一人一人が洪水や土砂災害を想定したマイ・タイムラインを作りましょう。

<執筆者プロフィル>

山見美穂子

フリーライター

岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。

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