「子どものタイプによって、鍵を手にしたときの対応や任せられる範囲も異なります。ですから、『何歳になったら鍵を渡してもいい』というはっきりとした線引きはありません。前提としてあるのは、子どもに鍵を渡すということは、ひとりで留守番をさせることとほぼ同じだということです」(舟生さん 以下同)
●子どもに鍵を渡そうと思ったらまずは留守番の練習から
まずは、子どもがひとりで留守番できるのかを見極めることが大切のよう。留守番経験がないなら、ひとりで家にいることに慣れさせるところからスタートさせてもいい。最初から子どもに鍵を持ち歩かせるよりも、段階をふんで様子を見る方法もあると舟生さん。
「例えば、子どもが家にいる状況で親が鍵を閉めて出かけます。そのときに、『万が一、何かあって外に出ないといけないときは、この鍵が使えるからね』と鍵の保管場所を伝えます。そして、実際に鍵を使ったかを子どもに確認し、しっかりと留守中のできごとを報告できるかを判断しましょう」
留守番を任せられる、鍵の管理もしっかりできると感じたら「鍵を持ち歩き、自宅の開け閉めをする」という次のステップへ進む。夏休みなどの時間に余裕のあるときに、試してみるのもいいそうだ。
●鍵を使うときのルールについて家族で話し合う
鍵の扱い方ひとつをとっても、子どもによってさまざまだ。なくさないよう注意する子や雑に扱う子、なかには友だちに自慢したくなる子もいるだろう。どういうタイプであれ、鍵の大切さについては事前にしっかりと伝えておく必要があると舟生さんはいう。
「鍵はとても大切なもので、なくすと強盗や空き巣などに悪用される可能性もあると子どもに伝えます。そのうえで、『人前で鍵を出さない』など、家庭内でルールを決めるといいですね」
鍵の使い方はもちろん、鍵をなくしたときの対策やインターフォンが鳴ったときの対応など、あらゆる事柄を想定して決めておく必要がある。
「肝心なのは、親が決めたルールを一方的に押しつけないこと。『家の電話には出なくていいことにしようと思うんだけど、どうかな?』と子どもに提案し、意見を聞いて一緒に作りましょう。自分が決めたルールなら、子どもも守ってくれるはずです」
話し合いをするにあたり、日頃から親子でコミュニケーションをとれているかは大きなポイントのようだ。子どもの話に耳を傾けていれば、自然と親の話を聞いてくれるようになるそう。
「同じルールを何年も守り続ける必要はありません。お子さんの成長に合わせて、その都度話し合いながらステップアップしていくといいでしょう」
防犯に関する情報収集も大切だけど、すべての方法が自分の子どもに合っているとは限らないそう。知識だけを押し付けるのではなく、自分の子どもに合った方法を試しながら進める。親子の信頼関係を築いたうえで、鍵を渡すことが大切のようだ。
(畑菜穂子+ノオト)