〈今後の見通し:本体価格への転嫁に「限界感」強まる〉
高い上昇率が続く食品の値上げに対し、購入点数の減少や安価なPB(プライベートブランド)商品への変更、買い控えといった「値上げ疲れ」の消費行動が続き、食品スーパーなど小売現場から食品に対する値下げ圧力が強まりつつある。
一方、メーカー側では、食品トレーやビンなど包装資材、物流費のコスト増が続くなか、大雨や猛暑、干ばつをはじめとする異常気象による原材料高の負担が重くのしかかっている。加えて、最低賃金の引き上げによる「人件費」由来の値上げ割合が徐々に上昇するなど、複合的な値上げ圧力は高止まりしたままだ。
近時は、値上げによる消費者側のショックを和らげるため、本体価格の「引き上げ」から内容量の減量などによる「据え置き・維持」へのシフトが食料品で目立ってきた。さまざまなコストが上昇する中でも積極的な「値上げ」がしづらい状況が鮮明となっており、値上げの勢いは後退感がみられる。
〈10月の食品値上げ予定品目数は約3,000品目〉
先行きでは、10月の食品値上げ予定品目数は3,000品目前後の着地が予想される。10月としては2022年以降で最少となるものの、24年4月以来半年ぶりの値上げラッシュとなる。
値上げを含めた価格設定は難しい局面を迎えており、24年通年の食品値上げ品目数は23年通年から半減となる1万5千品目前後が想定される。
帝国データバンク「実施ベースでの値上げ品目数累計 推移」
配信: 食品産業新聞社ニュースWEB
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