垂直避難とは?状況別に避難方法を解説

垂直避難ができる3つの条件

垂直避難で安全を確保できるのは、次の3つの条件を満たす場合に限ります。なお、斜面や崖地に近い「土砂災害警戒区域」に自宅がある人は、垂直避難では安全の確保ができないため、立退き避難が原則となります。

建物が倒壊する危険がない

垂直避難ができるのは建物そのものに倒壊の危険がないことが前提となります。河川の氾濫により家屋が流される危険のある「家屋倒壊等氾濫想定区域」では、垂直避難は推奨されません。

浸水の深さより高いところに留まれる

浸水の深さによっては2~3階建ての自宅では高さが足りないおそれがあります。その場合でも、近隣のビルや海岸近くに立てられた津波避難ビルなどに避難をすることができるかもしれません。あらかじめ垂直避難ができる場所を探しておきましょう。

水と食料などの備えが十分にある

自宅で垂直避難をした場合は、自治体が定めている避難場所などに比べて、支援物資が届きにくくなる恐れがあります。東京などの海抜0メートル地帯の中には、近くの河川が氾濫した場合、水が引くまでに1週間以上かかると想定されている地域もあります。垂直避難が長引いても水と食料がもつよう備えておきましょう。

住居や出先における垂直避難の流れ

実際に垂直避難をするときの流れをイメージしてみましょう。

マンション

マンションの1階に住んでいる人は、床上浸水がはじまる前に非常持ち出し袋を持って、2階以上の廊下などの共有部や、高層階に住む知人宅などへ垂直避難をしましょう。

すでに床下浸水がはじまっている場合にはエレベーターが故障したり、安全確保のために緊急停止したりすることがあります。その場合は階段を使って上の階へのぼりましょう。

マンションの高層階に住んでいる人は、避難所などへ移動することなく、そのまま自宅に留まることが安全確保行動につながります。乳幼児や要介護者、ペットなどがいる家庭にとっては、ストレスの少ない避難方法といえるでしょう。ただし、浸水の影響で停電や断水などが生じるおそれがあるのは、マンションの高層階でも同じです。水と食料、懐中電灯などの防災グッズを確認しておきましょう。

なお、津波や洪水からの一時避難場所として、近隣住民の受け入れを承諾しているマンションもあります。住人以外の人がマンションの共有部に逃げ込むことがあるかもしれないことを覚えておきましょう。

一軒家

2階建て以上の一軒家であれば、自宅の上の階へ垂直避難をすることが可能です。床上浸水がはじまる前に、水と食糧、防災グッズなどを持って2~3階へとあがりましょう。

ただし、自宅がある地域で想定されている浸水の深さに注意してください。近くの河川が氾濫すると3m以上の浸水が予想されるエリアでは自宅の2階まで、5m以上の場合は3階まで浸水する恐れがあります。

河川氾濫や土砂災害で家が倒壊する危険のあるエリアでも、垂直避難はできません。津波の場合も勢いが激しく、家が流される恐れがあります。自治体が指定する津波避難ビルなど、鉄筋コンクリートの頑丈な建物に避難をしてください。

商業施設や屋外にいる場合

浸水が想定される区域では、自治体に協力するショッピングモールやオフィスビル、ホテルなどの商業施設を一時避難場所として利用できる場合があります。日中に職場などのオフィスビルや商業施設にいた場合は、そのまま上の階へと垂直避難ができるかもしれません。施設の従業員や警備員などの指示に従い、避難が許可されているエリアへと移動しましょう。

夜間などの営業時間外であっても、商業施設の共有部や駐車場が一時避難場所として開放される場合があります。該当する商業施設を自治体のサイトやハザードマップで確認しておきましょう。

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