住んでいるエリアの危険度や防災について知っておこう
垂直避難ができるかどうかは、自宅のある土地の浸水リスクによります。東京・大阪・名古屋の三大都市には、海や川よりも低い土地に人が暮らす海抜0メートル地帯が広範囲に広がっています。
多くの人にとって、水害は他人事ではありません。自治体が公表しているハザードマップを確認してみましょう。
ハザードマップと避難経路の確認
津波ハザードマップや洪水ハザードマップでは、想定される浸水区域や、浸水の深さなどが確認できます。水害から身を守るために重要な情報ですので、家族で確認し、どんなときにいつどこへ避難するか話し合っておきましょう。
避難するときに避けたほうがよい道を確認しておくことも大切です。自宅から避難場所までの間に、冠水しやすいアンダーパスや、土砂崩れの危険がある崖地などはないでしょうか。高台の公園などの一時避難場所、学校や公民館などの避難所、緊急避難ができる津波避難ビルなどいくつかの避難場所について、道順とおおよその所要時間をイメージしてみましょう。実際に災害が発生したとき、危険が迫ったときの冷静な行動へとつながるはずです。
防災グッズの準備
水害により、電気・ガス・水道などが使えなくなることがあります。自宅で垂直避難をする場合でも、防災グッズの準備をしておきましょう。津波や洪水からの避難は一刻を争う場合があるので、非常持ち出し袋に荷物をまとめておくことも大切です。
・水、食料
水と食糧は3日~1週間分の備えをしておきましょう。電気やガスが使えなくなるかもしれないので、常温で保存できて、加熱調理をしなくてもそのまま食べられる缶詰やレトルトがあるとよいでしょう。水は一人につき、1日3リットルが目安です。
・モバイルバッテリー、携帯ラジオ
情報収集や緊急通報、安否確認のために、携帯電話・スマートフォンの電源を温存することが大切です。ソーラー充電や手回し充電に対応した携帯ラジオがあると、停電時の情報収集に役立ちます。
・LEDライト、カセットコンロ
電気とガスの代わりとして用意しましょう。夜間のトイレなど少しの距離でも、暗闇の中を歩くのは危険です。歩くときに足元を照らすための懐中電灯は、一人にひとつ用意しましょう。カセットコンロがあると、温かい食事をとることができます。
・携帯トイレ、その他衛生用品
停電や断水でトイレが使えなくなるかもしれません。凝固剤で固めるタイプの携帯トイレを用意しておきましょう。トイレットペーパーまたはティッシュペーパーも必要です。手洗いの代わりとして、除菌ウェットティッシュも重宝するでしょう。
・着替え、防寒具など
家の近くのビルなどへ避難するときに、衣服が濡れてしまうかもしれません。非常持ち出し袋の着替えは濡れないように、ビニール袋に入れるなどの対策をしておきましょう。季節に応じて、薄手のアルミ毛布などの防寒アイテムもあると役立つでしょう。
・医薬品
解熱剤、抗アレルギー薬、ばんそうこうなど。持病があり、服薬している薬がある人はお薬手帳とともに忘れずに持つようにしてください。
・現金、貴重品
貴重品を取りに戻って避難が遅れてしまうことのないよう、いくらかの現金、保険証のコピー、銀行の口座番号を控えたメモなどを、非常持ち出し袋に入れておきましょう。
まとめ
津波や洪水で浸水のリスクがあるときに建物の2階以上に逃げる垂直避難は、遠くまで避難することが難しい高齢者や、逃げ遅れてしまった人などが身を守る手段となります。
浸水リスクのあるエリアでは、身近な商業施設が垂直避難のできる一時避難場所として利用できる場合もあります。自治体のサイトや、ハザードマップなどで垂直避難ができる場所を確認しておきましょう。
<執筆者プロフィル>
山見美穂子
フリーライター
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。
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配信: 防災ニッポン