【獣医が解説】シニア猫がかかりやすい病気|主な症状や注意点、対策方法について

【獣医が解説】シニア猫がかかりやすい病気|主な症状や注意点、対策方法について

最近は猫が15歳くらい生きることも珍しくなくなってきました。8歳くらいからシニア期に入るので、猫は寿命の半分をシニアとして過ごすことになります。今回はシニア期にかかりやすい病気について解説します。

歯周病

歯の根っこの部分を歯根部といいます。

この歯根部は歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨から構成されており、それらを歯周とよんでいます。

猫の歯周病は歯肉炎を放置することによって起こります。

歯肉炎とは猫の歯に歯垢や歯石がたまり、細菌感染を引き起こすことで歯茎(歯肉)に炎症が生じた状態のことです。

日頃から歯の手入れを行っていないかぎり、シニア猫の歯には歯石がついています。

したがって、程度の差はありますが、ほとんどのシニア猫は歯肉炎を患っていると言えます。

歯周病を防ぐには歯肉炎の段階で、歯石除去などの処置を行う必要があるのです。

しかしながら、歯石がたくさんついている猫がひどい歯周病になるかというと、そこは一概には言えません。

歯石が少ししかついていない猫でも、猫エイズなどのウイルス疾患にかかっていいる場合は、歯肉炎などの症状が悪化しやすいのです。

このような猫の場合は治療も手こずることが多く、免疫力を高める薬を併用することもあります。

また、シニア猫には水分補給のためにウエットフードが推奨されることもありますが、ドライフードに比べると歯石がつきやすくなるとの指摘もあります。

ドライフードにウエットフードを混ぜるのがいいかもしれません。

症状

食べ方がおかしい

フードを口からよくこぼすようになった。

口臭がきつい

よだれがでる

前足で口のまわりをひっかくようなしぐさをする。

フードを残すようになり、残ったフードに血がついている。

自宅でやっておくといいこと

日頃からデンタルケアをしておくのが、一番の予防となります。

猫のデンタルケアの方法は使う道具もいろいろとあるので、まずは獣医師に相談してみてください。

飼い主さんが猫の口のなかを見て歯茎が赤くなっていたり、歯石がたくさんついているのがわかったら動物病院につれていきましょう。

ただし、このような症状を示す猫は、口を触られるのをとても嫌がるため、症状がみられたら早めに獣医師に相談するほうがいいです。

治療法

内科的には抗生剤を使用します。

痛みや炎症が激しいときにはステロイドが用いられることもあります。

外科的には麻酔をかけて歯石の除去をおこない、場合によっては抜歯が施されることもあります。

変形性関節症

加齢にともない関節軟骨がすり減ったりすることで関節炎が生じ、関節に痛みを生じる病気です。

肘関節、肩関節、膝関節での発症が多くみられます。

症状

歩きたがらなくなる(悪天候のときは特に歩きたがらない)

起き上がる動作が鈍くなった。

足を引きずって歩く。

関節がゴツゴツしてきた。

関節が腫れて、熱をもっている。

関節付近を触ると嫌がる。

猫は犬ほどは症状を示さないことが多いようです。

治療法

猫が足を痛そうにしている時には、非ステロイド系消炎鎮痛剤を用いて痛みを緩和させるなどの対症療法を行います。

サプリメントが効果的なこともあります。

また、体重過多は関節に負担をかけてしまうので、体重管理は症状を悪化させないためには必要です。

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