刺身、大好きなんですよ。
日中の原稿仕事が落ち着いた早めの夕方くらいにスーパーへ行って、今夜のつまみは何にしようかな~?なんてパトロールをする際、お刺身コーナーを見ないことはありません。値段と気分が釣り合ったものがあれば買って帰り、ウキウキしながら冷蔵庫に冷やしておき、ひとっ風呂浴びて、いざ刺身晩酌開始! こんなに楽しい瞬間もないよなぁ。
あ、ちなみに「あと100円安ければな…」なんて思いつつ、その日(主に値段的に)ちょうどいい刺身がなくて買うのをあきらめた場合は、カニカマやわかめなどをわさび?油で食べて気を紛らわせる、ということを頻繁にやっているくらいに好きです、刺身。
僕の刺身遍歴を思い起こしてみると、若い頃はまったく食べなかったんですよね。両親ともに酒は好きだったんですが、母がそんなに生魚を好まないようで、食卓に上がることがほぼなかった。すでに亡くなってしまった父は、「つまみなんて、あれば何でもい~よ」って感じの人だったので、刺身は僕にとって遠い存在。むしろ「あんまりおいしくないもの」くらいの距離感でした。
が、まぁ、酒が飲めるようになり、居酒屋なんかへ行くようになると、出てきますもんね、刺身。そこでなんとなくつまむようになり、あんまり経緯は覚えてないけれど、いつの間にか大好物になっていました。
定番はやっぱりマグロで、初めて大トロを食べた時なんか、全身に衝撃が走ったもんです。これが、刺身の頂点か!と。その後長らく、いちばん好きな刺身は「ブリ」だったんです。若かりし頃ってほら、「脂=美味」じゃないですか。ところが近年は、大トロもブリも、ひと切れ食べたらもう十分。40代も中盤になった自分には、脂が強すぎるんですよね。
逆にどんどん好きになっていくのが、白身。鯛とか平目とか。あと、貝。赤貝、ミル貝、ホッキ貝、つぶ貝などなど、もうたまんないっすよね。僕がよく行くスーパーの「ライフ」に、その辺をちょうどよく盛り合わせにしたセットが、398円くらいで売ってるんですよ。あれ、本当にいいんだよなぁ。
それから忘れてはいけない、僕がいちばんお世話になってるのが、ビンチョウマグロ。マグロと名が付きながら、サクでも切り落としでも、基本的にリーズナブルじゃないですか。で、口当たりはトロリとしていながらも、脂はそんなにしつこくない。それを、大葉でくるんでわさび?油につけて…あぁ、書いていたら刺身晩酌をしたくてどうしようもなくなってきたぞ。
って、なんだかもうちょっとこう、「〇〇県の〇〇漁港で食べた〇〇の刺身は至高だった」みたいな話をしろよ、と思われている方も多いかもしれません。書いていて自分でもそう感じてきました。
けど僕のような庶民でも、日常的に刺身晩酌を楽しめるのが、日本のいいところだと思います。さすがにちょっといい居酒屋に行って刺身が出てくると、これは日本酒に合わせたいな、なんて思いますが、家ではそれこそ、缶チューハイと合わせたっていいわけですしね。
あ、最後にちょっとしたお得情報を。スーパーで割引されていて買ったはいいけど、食べてみたらちょっと鮮度が落ちてるかも、みたいな刺身に当たってしまった場合でも、あきらめないで。全体に軽く塩をふって30分ほど置いておき、キッチンペーパーで水気を拭くだけで、ぐっとおいしさがよみがえりますので、お試しあれ。っていうかこの技、別に鮮度の落ちてない刺身にやるのもありです。
ではナオさんへの次回のお題。回転も高級もあり。「寿司の思い出」でどうでしょうか!?
パリッコ:酒場ライター。著書に「酒場っ子」「天国酒場」など多数。スズキナオ氏との酒飲みユニット「酒の穴」としても活動している。「缶チューハイとベビーカー」が絶賛発売中!
配信: アサジョ
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