子供に借金させる親がいる理由は?5つの対処方法についても解説

子供に借金させる親がいる理由は?5つの対処方法についても解説

親子ともに借金を抱えている家庭は珍しくありませんが、中には子供に借金させる親もいます。

どのような事情があるにせよ、子供の名義で借りた借金は子供自身が返済義務を負うのが原則ですが、無理やり借金させられた場合にまで返済義務を負うのは納得できませんよね。

そこで今回は

親にさせられた借金は誰が返済義務を負う?
親にさせられた借金を返済できない場合はどうすればよい?
子供に借金させる親にはどのように対処すればよい?

などについて、弁護士がわかりやすく解説します。

1、子供に借金させる親がいる理由

親が子供に借金させるケースには、いくつかのパターンがあります。

いずれのパターンにおいても、子供に借金させる理由は親自身がお金に困っていることにあり、他に頼れる人がいないため子供に頼っているという構造になっています。

(1)生活費が足りない

最も多いのは、親自身が生活費に困っているというケースです。

収入が少ないために生活費が足りない
収入があるが浪費癖があるため生活費が足りない
収入が少ない上に浪費癖があるため生活費が足りない

さまざまなパターンがありますが、親自身が病気などで働けない、収入が国民年金のみ、というような場合はやむを得ないといえるかもしれません。

しかし、子供に借金させてまでお金を無心する親には問題があるといえます。

(2)事業資金が足りない

親の事業資金のために子供に借金させるケースも少なくありません。

通常は、まず親自身が融資を受ける際に子供に連帯保証を頼んできますが、それでも資金が足りなくなると、子供名義で借金をするように頼むということが珍しくありません。

事業の収益が低下した場合、早めに見切りをつければ傷が浅くて済みますが、そうすると子供に多額の連帯保証債務が降りかかってしまいます。

それを回避するために事業を継続しようとして、結果的に子供名義の借金も膨れ上がってしまうという悪循環に陥っているケースが多くなっています。

(3)借金返済が苦しい

親が借金返済に苦しんでいて、返済資金のために子供に借金を頼むというケースもあります。

このケースでは、親自身がもうどこからも借りられないほどに借金が膨らんでいるのが通常であるため、その上に子供にまで借金を重ねると、親子共倒れとなる可能性が非常に高くなります。

2、親にさせられた借金は誰が返済義務を負う?

それでは、親にさせられた借金は必ず子供が返済しなければならないのでしょうか。

それとも、親が返済すべきといえるケースもあるのでしょうか。

(1)親に頼まれて借りた場合

まず、親から「借金をしてでもお金を援助してほしい」と頼まれ、納得した上で子供が借金した場合は、当然ながら子供自身に返済義務があります。

この場合、親に返済を強制する法律上の理由はありません。

(2)親に名義貸しをした場合

次に、親から「返済は自分がするから名前だけを貸してほしい」と頼まれて、子供名義で借金をした場合はどうでしょうか。

このような借り方のことを「名義貸し」といいます。結論からいいますと、名義貸しをした場合も名義人が返済義務を負います。つまり、親に名義を貸した場合は子供が返済をしなければなりません。

厳密にいうと、名義貸しをすると詐欺罪に問われるおそれがあります。なぜなら、自分で返済する意思がないのに名義を偽って、貸金業者からお金を引き出しているからです。

もっとも、実際には貸金業者が名義人を詐欺罪で告訴することはまずありません。契約に従って名義人に返済を請求してくることになります。

(3)親に騙されて借りた場合

親の「絶対に自分で返すから」という約束を信じて借金をしたのに、実はまったく返すつもりなどなかったという場合は、親に騙されたと思うことでしょう。しかし、それでも返済は子供がしなければなりません。

民法には錯誤(同法第95条)や詐欺(同法第96条)に基づく契約を取り消せるという制度がありますが、このケースでは子供が借金の契約をすることについて錯誤も詐欺もないからです。

親が返すという約束は貸金業者には関係のないことなので、返済義務は契約どおり名義人である子供に生じるのです。

親から「生活費が足りないから」と言われて借金したのに、実際にはギャンブルにお金を使われた、というようなケースも同様です。

ただ、親が子供の印鑑や身分証明書を勝手に使って子供名義で借金をした場合、子供は契約の無効を主張して返済を拒否できる可能性があります。ただし、この場合は署名・押印を自分でしたものでないことを証明しなければなりません。

(4)親に脅されて借りた場合

親に脅されてやむを得ず借金をした場合、子供は「強迫」による意思表示を理由に契約を取り消して、返済を拒むことができます(民法第96条1項)。

ただし、強迫を理由とする取り消しが認められるのは、害悪を告知されて畏怖の念を生じたために意思表示が行われた場合に限られます。

実際には、親に脅されて契約した借金の取り消しが認められるケースは稀です。

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