3、こんなときはどうする?離婚調停を弁護士に依頼するか迷うケース
離婚調停のすべてのケースで弁護士への依頼が必要とまではいえませんが、調停委員が中立公平な立場である以上、多くの場合は弁護士という味方をつけることで調停を有利に進めやすくなるはずです。
それでも、弁護士に依頼すべきかどうか迷うケースはあると思います。
ここでは、そんなときにおすすめしたい考え方をご紹介します。
(1)申立人と相手方の双方に弁護士が付いた場合はどちらが有利になる?
離婚調停を申し立てると、自分が弁護士を付けていなくても相手方が弁護士を付けてくることも少なくありません。
その場合、相手方が前項でご紹介したメリットを享受しますので、そのままではあなたが不利となるおそれが否定できません。
では、双方に弁護士が付いた場合はどちらが有利になるのかという疑問も出てくることでしょう。
この問題は、依頼した弁護士が離婚調停を得意としているかどうかと、依頼者のことを真剣に考えているかどうかにかかっています。
良い弁護士の選び方については次項で解説しますので、参考になさってください。
(2)離婚調停の途中からでも弁護士への依頼は可能?
この記事をお読みの方の中には、すでにご自身で離婚調停を申し立てて、調停中だという方もいらっしゃるかもしれません。
離婚調停の途中からでも弁護士への依頼は可能です。
すでに調停である程度話し合って、あなたが不利な離婚条件で説得されかかっているような段階でも、弁護士に依頼すれば仕切り直すことができます。
弁護士が法的な観点から的確な主張や証拠を提出すれば、調停委員も無視できませんし、相手方も反論しなければなりません。
事案にもよりますが、不利な状況を巻き返して有利な結果を獲得できる可能性もあります。
自分で申し立てた離婚調停で旗色が悪くなった場合でも、諦めずに弁護士に相談することが大切といえるでしょう。
(3)夫婦関係を修復する調停でも弁護士は必要?
調停には離婚調停だけでなく、夫婦関係を修復する方向で話し合うための調停もあります。
「夫婦関係調整調停(円満)」というのがそれです。略して「円満調停」と呼ばれることもあります。
ちなみに、離婚調停の正式名称は「夫婦関係調整調停(離婚)」といいます。
円満調停を弁護士に依頼するのが有効かどうかはケースバイケースですが、多くの場合は有効と考えられます。
なぜなら、前記「2」で解説した依頼のメリットは、円満調停の場合にもほぼそのまま当てはまるからです。
例えば、相手があなたの不倫を疑って離婚と慰謝料を請求しているような場合、あなたは不倫の疑いを打ち消すような主張と証拠を提出することを求められるでしょう。
このような場合には、弁護士のサポートが有効となります。
また、弁護士に依頼して調停に臨むことで、「本気で修復したい」という気持ちをアピールすることにもつながります。
ただ、円満調停に弁護士を付けて臨むことを相手方が快く思わない可能性があるのも事実です。
離婚問題に詳しい弁護士なら、事案の内容が分かれば弁護士への依頼が有効かどうかをある程度判断することができます。
場合によっては、継続的に弁護士に相談しながらご自身で調停を進めていくことも可能ですので、まずは弁護士に対応を相談してみると良いでしょう。
4、離婚調停を成功させるための弁護士選びのポイント
離婚調停を成功させるために弁護士への依頼が有効だとはいっても、どのような弁護士に依頼しても同じ結果が得られるとは限りません。
せっかく弁護士に依頼するなら、弁護士選びは重要です。
ここでは、離婚調停の成功につながる弁護士選びのポイントについてご説明します。
(1)離婚調停の取り扱い実績が豊富にあるか
第一に、離婚調停を得意とする弁護士を選ぶことです。そのためには、離婚調停を取り扱った実績を豊富に持つ弁護士を探すと良いでしょう。
弁護士の実績は法律事務所のホームページに掲載されていることもあるので、注目してみましょう。
また、離婚問題に特化したホームページを備えている事務所や、ホームページに離婚問題の詳しい解説記事を多数掲載している事務所は、離婚調停にも力を入れていると考えられます。
ネットで弁護士を探す際の参考にしましょう。
(2)話をじっくり聞いてくれるか
ネットで気になる弁護士が見つかったら、必ず依頼する前に法律相談を利用しましょう。
その際には、弁護士があなたの話をじっくり聞いてくれるかどうかに注意してください。
弁護士の中には、簡単に話を聞いただけで相談者の話を打ち切り、あとは法律の解説ばかりをする人も少なくありません。
しかし、本当に相談者・依頼者のことを考えている弁護士なら、まずはじっくりと話を聞いてくれるはずです。
(3)説明が分かりやすいか
十分に話を聞いてもらったら、次は弁護士からの説明を聞きましょう。
その際には、説明が分かりやすいかどうかに注目してください。
専門用語を並べ立てて早口で説明する弁護士だと、相談者・依頼者のことを親身に考えていない可能性があります。
あるいは、相談された分野に精通していないために、分かりやすい説明ができないのかもしれません。
難しい内容でも、素人である相談者にも分かるように気を配って説明してくれる弁護士を選ぶようにしましょう。
(4)不利な事情も説明してくれるか
弁護士が相談者にとって有利な事情だけでなく、不利な事情もきちんと説明してくれるかどうかも重要なポイントです。
例えば、相手が不倫したという証拠をどうしてもつかめない場合なら、「慰謝料は譲歩しなければならない可能性もありますが、離婚と親権だけは最低限確保しましょう」というように、良い弁護士なら状況に応じて最善の解決策を考えてくれるものです。
それに対して、不利な事情を説明せずに、「必ず希望を叶えてあげます」という弁護士に依頼すると、納得のいく結果を得られずに後悔してしまう可能性もあります。
(5)自分と相性が合うか
最後に、弁護士と自分との相性が合うかどうかも重要です。
弁護士も人間ですので、さまざまなタイプの人がいます。
弁護士は離婚問題について一緒に闘うパートナーですので、相性が合わないと精神的ストレスを抱え続けることになるでしょう。
最悪の場合、解決方針のすれ違いなどによって、望まない結果が出るおそれもあります。
例えば、あなたは離婚調停でじっくりと話し合って柔軟な解決を図りたいと思っていても、調停は早々に切り上げて裁判に進むタイプの弁護士に依頼した場合には、満足できる結果を得ることは難しいかもしれません。
相性の合う弁護士を選ぶには、直感に頼らなければならない側面もありますが、「話しやすいか」「説明が分かりやすいか」を基本としつつ、あなたの希望する方針を尊重してくれるかどうかにも注目すると良いでしょう。
配信: LEGAL MALL