背任罪って何?具体的な行為から逮捕までについて

背任罪って何?具体的な行為から逮捕までについて

3、背任罪の罰則は?

一方、背任罪の罰則は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

すでにご紹介した特別背任罪の罰則に比べると、特に罰金刑の金額に関してだいぶ軽くなった印象をお持ちになられた方もいらっしゃるかと思いますが、懲役刑は5年以下と決して軽くはありません。

4、似て非なる犯罪〜横領罪との違い

背任罪と似た犯罪として「横領罪」があります。

みなさんの中には「一体何が違うんだろう?」と疑問を持たれている方も多いでしょう。

そこで、横領罪が規定されてある刑法252条を確認することとします。

第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。

2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

(引用)http://elaws.e-gov.go.jp

実は、横領罪と背任罪は法上競合という関係にあり、一つの行為が横領と背任、両方の条文に該当することがあります。

このような場合、罰則が重い方の刑罰法規が適用されることになり、行為者は、罰金刑が規定されておらず懲役刑しか存在していない、横領罪で処罰されることとなります。

もっとも、横領罪は「他人の物(有体物=動産,不動産)」を横領したことを処罰の対象としており、成立範囲が背任罪に比べて限定されています。

これに対し、背任罪は上記でみてきたように、成立範囲が横領罪に比べ広く考えられています。

そのため、横領罪は成立しないが背任罪は成立するというケースも当然考えられます。

そのような場合は、背任罪で処罰されることとなるでしょう。

両罪の区別は、学説等でも激しく争われている部分であり、端的に説明することは困難なのですが、単純にいえば、目に見える物(=有体物)を処分した場合は横領罪、そうでない場合は背任罪とイメージされてもいいかもしれません。

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