「最近、いびきが酷い」「寝ても疲れが取れない」と感じている方、もしかすると睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。この症状は、放置すると健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、早めの診断と治療が大切です。そこで、睡眠時無呼吸症候群の解説や病院で行う検査などについて、医師の岩間先生(日本橋循環器科クリニック)に解説してもらいました。
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監修医師:
岩間 義孝(日本橋循環器科クリニック)
順天堂大学医学部卒業。その後、循環器を専門に東京都立広尾病院や横浜労災病院などで経験を積み、米国メイヨークリニック循環器科への留学などを経て平成19年6月より日本橋循環器科クリニック院長となる。日本循環器学会専門医、日本内科学会認定医。
睡眠時無呼吸症候群って? 医師が解説!
編集部
最近、朝すっきり起きられません。
岩間先生
十分に睡眠時間があるのに、朝すっきり目覚められないというのは、睡眠の質が関係しているかもしれません。熟睡感が得られない原因としては「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」も考えられます。
編集部
睡眠時無呼吸症候群という名前は聞いたことがあります。どんな状態を指すのですか?
岩間先生
文字通り睡眠時に無呼吸となる状態のことを言うのですが、もう少し専門的に言うと「睡眠中に生じる10秒以上の気流の停止」です。「しばしばいびきを伴い、睡眠の分断により過度の日中の眠気を伴う病態」とも定義されています。
編集部
寝ているときに10秒以上も気流が停止していることがあるのですね。
岩間先生
睡眠時無呼吸症候群の方は、その状態が何回も繰り返しているのです。診断基準としては「一晩の睡眠中(7時間)に、30回以上の無呼吸」あるいは、「1時間あたりの睡眠中の無呼吸数が5回以上」が用いられており、かなり多くの無呼吸状態が繰り返されていることが分かります。
編集部
それは怖いですね。
岩間先生
怖いのは、呼吸が停止していることへの怖さだけではありません。睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や糖尿病、心疾患、脳血管疾患と深い関係があることがわかっています。研究によれば、睡眠時の無呼吸がある人は、そうでない人に比べて高血圧を発症するリスクが約2倍、虚血性心疾患は約3倍、そして脳血管疾患は3〜5倍も高い割合で併発するというデータが示されています。また、突然死との関連も指摘されています。
もしかして自分も睡眠時無呼吸症候群? 自分でチェックしてみよう
編集部
睡眠中のことなので、自分で気がつくのは難しそうですね。
岩間先生
そうですね。睡眠時無呼吸症候群の人は日中の過度の眠気、頭痛などが代表的な症状として表れることがあります。ご家族の方にいびきを指摘される場合も睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。ご自身で確認する方法として、いくつかのセルフチェックリストやアプリなどもあります。
編集部
セルフチェックについて知りたいです。
岩間先生
例えば当院で用いているのは以下のようなチェック項目です。
よく昼寝をする
仕事中(特にコンピューター系)にうとうとすることがよくある
家族でいびき・無呼吸の人がいる
「いびきをかいている」と言われる
朝起きたとき、すっきりしていない
寝相が悪いほうである
悪夢をよくみる
日中、何となくだるい、疲れている感じがする
メタボリックシンドロームであるといわれている
朝起きた時、口が渇いている
これらの質問に「はい」の回答が多いほど睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
編集部
「はい」が多かった場合はどうすれば良いですか?
岩間先生
医療機関を受診するようにしましょう。かかりつけ医がいる方は、まずはそちらでも良いですし、そうでない方は、お近くの「睡眠時無呼吸症候群外来」などの専門医療機関に相談するのが良いと思います。
編集部
病院ではどのような検査をするのですか?
岩間先生
まずはBMIなどで肥満度を確認したり、問診をおこなったりして、起床時の頭痛や日中の眠気などの自覚症状や既往歴、服薬状況などについて聞きます。そこで「睡眠時無呼吸症候群の疑いがある」と判断された場合、診断機器を用いた検査が行われます。
配信: Medical DOC