睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法を医師が解説
編集部
診断機器を用いた検査とはどのような検査ですか?
岩間先生
腕時計タイプの機械を用いる簡易検査と、さらに詳しく調べるための終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)があります。簡易検査は、睡眠中の血中酸素飽和度やいびき・呼吸状態を測定する検査で、検査機器を持ち帰ってもらい、自宅で検査をしてもらいます。
編集部
PSGはどんな検査ですか?
岩間先生
この検査は、睡眠中の呼吸状態や睡眠の質を詳しく調べるものです。先述の血中酸素飽和度やいびき・呼吸状態のほか、脳波や胸・腹部の動きを記録し、無呼吸のタイプや重症度を評価します。センサーの数は簡易検査よりも多くなり、入院が必要となりますが、痛みは伴いません。解析は専門の医師や臨床検査技師が行います。
編集部
睡眠時無呼吸症候群であった場合、どのような治療をするのですか?
岩間先生
軽い睡眠時無呼吸症候群であれば、寝る時のポジショニングや体重コントロール、生活習慣の改善などを指導します。一定以上の重症度であれば、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)が選択されます。眠るときに鼻や口にマスクを装着して空気の圧で気道を押し広げるというもので、有効性・安全性が高く、健康保険の適用になっている治療法です。
編集部
「一定以上の重症度」とは、どのように決められるのですか?
岩間先生
1時間あたりの無呼吸の回数で決められます。具体的にいうと、簡易検査で40回/h以上、PSGで20回/h以上であればCPAP療法が保険適用となります。
編集部
ありがとうございます。最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
岩間先生
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている時の無呼吸なので自分では気付かないことや、日中の症状も「眠気」や「ぼーっとする」など抽象的なものが多いため、気が付かないまま重症化してしまっているケースが多く存在します。私の患者さんでも、治療を開始してから「朝スッキリ起きるって、こういうことだったんですね」「日中の集中できない感じ、あれが眠気だったんですね」と仰る方もいらっしゃいます。重症化するとさまざまな病気のリスクが上がってしまいますので、先述のチェックリストで思い当たる点のある方は、気軽に受診してみてください。
編集部まとめ
睡眠時無呼吸症候群の症状やチェックリスト、治療法などについて解説していただきました。睡眠時無呼吸症候群を放置しておくと、さまざまな病気や突然死のリスクが上がってしまうため、早期に適切な検査を受け、治療を開始することが重要なのだそうです。チェックリストで「はい」があった方は早めに専門医に相談して、健康的な生活を維持しましょう。
配信: Medical DOC