〈長期ビジョンで進む「ウォーター・ポジティブ」〉
サントリー食品は、100年先を見据えた長期的な視点で、使った以上に水を育む「ウォーター・ポジティブ」活動を推進している。同社の調査によれば、若者は水の消費量が多く、水への関心も高い傾向にあるという。
そこで、幼児から小学生やその親世代向けには、「サントリー天然水」工場でスタンプラリーや自由研究イベントを夏休み期間に実施した。今年の来場者は3万人超になったという。
小学生向けには、授業で“水を未来につなごう”プログラムを今年5月から展開。小学4年生の社会科授業「水」の単元をターゲットに、水が限りある資源であることや水資源を未来につなぐための活動を発信している。今年は申し込みが予定より多く、また実施校で好評だったことから、来年は5万人以上に拡張する予定だ。
水の啓発授業“水を未来につなごう”の様子
これらの取り組みにより、2026年までに累計10万人へ水の啓発を目指す。サントリー食品は、次世代を中心に据えた水資源保全の取り組みを多方面で進めることで、未来の環境保全につなげるねらいだ。
〈高校生が紡ぐ未来へのバトン〉
「ウォーターポジティ部」の活動は、高校生が自ら考え、行動することで、次世代への橋渡し役を果たす象徴的な取り組みである。高校生たちは、月に1度集まって、水について学ぶとともに、アイデアを出し合ってSNS投稿を工夫している。同世代が発信することで親近感が生まれ、話題が広がる効果はもちろん、彼らの行動が周囲にインパクトを与え、持続可能な社会を築く土台になりそうだ。
メンバーは、「ウォーターポジティ部」活動の励みになっていることとして、街頭イベントで声をかけられることや、インスタグラムのフォロワー数が増えることだという。メンバーは次のように話す。
「数十人だったフォロワーが、いまは2000人近くになってとても嬉しい。これからも見てくれる人がパッと中身がわかるように、視覚的に水の大切さを紹介したい。短い文で伝わるようにしたり、いい写真だなと思ってもらえるような撮り方をして、もっと多くの人に見てもらいたい」。
今回の植樹活動で高校生たちが植えた木は、未来の水を守る象徴として成長していく。その森が広がるころ、彼ら自身が次世代へと“水資源の重要性”を託す立場になっているだろう。サントリー食品の取り組みは、未来のリーダーを育むための新たな挑戦として、これからも注目されそうだ。
配信: 食品産業新聞社ニュースWEB