●子どもの気持ちも聞かず諭そうとするのはNG。親が一緒になって安易な同調をするのもNG!
「子どもにとっての1年間はとても大きいです。だからこそ、担任の先生と合わない、好きになれない…という状況は、なんとも残念な状況ですね。そんなとき、まず親としてやってあげてほしいことは、お子さんに寄り添って、話を共感的に聞いてやることが大切です。人に話すだけでも多少は気が晴れるものです。まずは、気持ちを癒すことを心掛けてください」(親野先生 以下同)
こんなとき、絶対に親としてやってはいけないNG対応があるという。
「やってはいけないNG対応のひとつは、『先生のこと嫌いなんて言っちゃダメでしょ!』などと、正論で指導しようとすることです。これだと、子どもの話を共感的に聞けなくなり、子どもは親にもつらい思いを吐露できなくなります。それで余計に苦しくなってしまうのです。だから、家に居るときだけは安らげるような環境づくりをしてやってほしいと思います」
もうひとつのNG対応は、親が安易な同調をしてしまうことだという。
「もし、親が『あの先生、みんなに嫌われてるんだよ。性格悪そうだものね。先生かえてほしいわね』などと、子ども以上に悪口を言ってしまったら、お子さんはどうなるでしょうか? 『みんなそう思ってるんだ。やっぱり嫌な先生なんだ。だったら、もっと反抗してやる』などと、気持ちが安らぐどころか、より激しい気持ちになってしまう可能性もあります。ですから、決して安易な同調をしないように気を付けてください」
●まず先生とわが子の関係の客観的な事実をつかむこと。そして先生と話し合うときは、子どもの幸せを第一に考えて!
子どもの気持ちに寄り添い、共感したところで、今度は実際に親としてどう対応したらいいのか?
「客観的な事実をつかむことが大切です。子どもがなぜ担任を嫌っているのか? 実際、担任の言動に問題があるのか? それとも、子どもの一方的な勘違いなのか?まずお子さんから話を聞き出したら、今度は、クラスメイトやその親、元の担任、保健の先生など、身近な人たちから情報を集めます。そうすることによって、お子さんが言った通りだとわかることもあるでしょうし、あるいは、もっと別のことが見えてくることもあるかも知れません。どちらにしても、しっかりした事実をつかむことで、その後の対応を考えていくことができるのです」
わが子の話だけをすべて鵜呑みにして、すぐ行動することだけは避けなければいけないという。情報収集の結果、やはり担任に何か問題がありそうだ…という場合は、担任としっかりした話し合いが必要だと親野先生は話します。
「先生と話し合うときのポイントは、とにかく“子どもにとっていい方向にもっていくための話し合い”だということを忘れないこと。つまり、先生と親が感情的になって対立していいことは何もありません。ですから、まずは先生に対して日ごろの感謝を伝えることや、敬意をきちんと払うことを決して忘れてはいけません。そして、お子さんのことを一番に考えて話し合うことが何よりも大切です。先生も人間ですから、親御さんの大人な対応次第でお子さんへの印象や対応が変わり、関係性が良好になる可能性は大いにありますので、しっかり心がけましょう!」
担任に相談しても改善されない場合は、学校長に直接相談するのも方法だという。いずれにせよ、子どもの気持ちにまずは共感し苦しみを癒すこと。そして、学校側との話し合いは、“すべてはわが子の幸せのため”ということを肝に銘じて、決して“クレームから作る人間関係”にならないことを心がけて対処してください。
(構成・文/横田裕美子)