●気温だけが熱中症の原因じゃない! チェックするべき「WBGT」とは?
一般的には「気温が上がると熱中症になりやすい」と認識している人が多いのではないでしょうか。しかし、気温以外にも留意するべきことがあると小暮医師は言います。
「実は、気を付けるべきなのは気温だけではないんです。熱中症の予測については、環境省が出している『WBGT(暑さ指数のことでWet Bulb Globe Temperatureの略)』という指標が使われます。WBGTは暑さ指数とも呼ばれ、『気温』『湿度』、それから地面や建物から出る熱『輻射(ふくしゃ)熱』の3つの項目で計算した指標になります。このWBGTの数値が高くなるほど熱中症のリスクも高まります」(小暮医師、以下同)
そのなかでも、とくに重要なのは湿度。同じ気温でも湿度が高いと、WBGTの数値もより高くなるのだそう。
「WBGTの温度指数は、『1(気温の効果):7(湿度の効果):2(輻射熱の効果)』で計算されます。気温37度があっても、カラッとしている暑さってありますよね。それよりも危険なのは、たとえ気温が30度くらいだったとしても湿度が異様に高い場合。後者のほうが熱中症になりやすいこともあります」
●WBGTが示す熱中症危険度とは?
では「WBGT」の数値はどこでチェックすればいいのでしょうか?
「WBGTは環境省が毎日予報を出しており、『熱中症予防情報』のウェブサイトでチェックすることができます。算出された指数が31度を超えた場合は、熱中症の可能性が非常に高く、外出も避けた方が良いとされています。WBGTの数値にどれくらいのイメージや危機感を持つか、1度上がった時の危険度がどう変わるのかを理解すると良いですね」と小暮医師。
なお、環境省ではWBGTの数値の危険度を、次のレベル分けしています。
●危険 (WBGT 31度以上)
…高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
●厳重警戒 (WBGT 28度以上31度未満)
…外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
●警戒 (WBGT 25度以上28度未満)
…運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。
●注意(WBGT 25度未満)
…一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。
ちなみに、0歳から思春期の子どもはとくに熱中症になる確率が高いとのこと。重症化したら命の危険もあるため、甘く見てはいけません。環境省では「熱中症予防情報サイト」で、WBGTの情報をホームページ上で公開しているので、夏のお出かけ前は欠かさずチェックした方がいいかもしれません。
(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)