5、休日日数に問題はないが、事実上休日出勤が多いケース
法定休日日数や法定外休日日数に問題はない場合でも、休日出勤した場合に気を付けるポイントがあります。
(1) 法定休日出勤の場合
企業が法定休日に出勤させた場合、労働者に「基礎時給×1.35倍」の割増賃金を支払わなければなりません。
※基礎時給=1時間あたりの賃金のことで、月給制の場合は「月給÷月平均所定労働時間」で計算されます。
(2) 法定外休日出勤の場合
例えば、土曜日と日曜日が休日で、日曜日が法定休日の場合、土曜日が法定外休日となります。
企業は、法定外休日に出勤させた場合も、週の労働時間が40時間を超えるまでは、労働者に割増賃金を支払う必要はありません(もっとも、就業規則で法定外休日の勤務に対しても割増賃金を支払う旨を規定している場合は、就業規則に則って割増賃金を支払う必要があります。)。
しかし、40時間を超えた場合には、時間外労働として「基礎時給×1.25倍」の割増賃金を支払わなければなりません。
このように、法定休日出勤と法定外休日出勤の場合で、割増賃金が支払われるべきか否か、また支払われるべき場合の割増率が異なりますから、法定休日出勤か法定外休日出勤かはきちんと区別する必要があります。
なお、企業に36協定なく、労働者を休日出勤させ、かつ法定の割増賃金を支払わなかった場合には「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」を科される可能性があります(労働基準法第119条第1項)。
6、休みが少なくサービス残業、無給出勤がある場合の対処法4つ
サービス残業とは、所定労働時間を超えて勤務したにもかかわらず残業代が支払われない、あるいは適切な額の割増賃金が支払われない出勤をいいます。
(1)割増賃金請求のための証拠を収集し、保管しておく
割増賃金を請求するためには、その請求の根拠となる証拠を収集し、保管しておく必要があります。
タイムカードやメールの送受信記録、FAXの送信記録、通話履歴、ファイルの更新時間、パソコンのログイン・ログオフ時間などは労働時間を証明する上で貴重な証拠となりえます。
また、ご自身で日誌等を記録するのもよいでしょう。
(2)会社と交渉する
そして、(1)で収集した証拠を基にご自身で割増賃金を計算し、支払について会社と交渉しましょう。
割増賃金の支払は会社の義務ですから、それを求めることは労働者の正当な権利です。
もっとも、会社が素直に支払ってくれるとは限りません。
そのようなときは弁護士に相談することも検討しましょう。
(3) 労働基準監督署に相談する
労働基準監督署は、労働基準法やその他の関連法規に基づいて企業を監督し、場合によっては悪質な違反行為を摘発する厚生労働省管轄下の機関です。
割増賃金の未払いも労働基準法違反に当たるため、お困りの方はお近くの労働基準監督署に相談しましょう。
(4) 労働審判、訴訟を検討する
会社と交渉をしても支払われないときは、労働審判の申立てや訴訟の提起も検討しましょう。
裁判所を利用する手続きですので、会社も無視することはできないでしょうし、裁判所で主張が認められれば、最終的には強制的に権利を実現することができます。
これらの手続きには専門的知識が必要ですので、弁護士に相談しましょう。
配信: LEGAL MALL