「封入体筋炎」の前兆・初期症状はご存知ですか? 特徴を併せて医師が解説

「封入体筋炎」の前兆・初期症状はご存知ですか? 特徴を併せて医師が解説

封入体筋炎の前兆や初期症状について

封入体筋炎は進行性の疾患であり、徐々に筋力低下などの症状が現れます。そのため発症初期には症状を自覚しづらいこともありますが、「太腿の筋力の低下」や「手の指・手首を曲げる筋力が弱くなった」、「歩きづらくなった」という症状があれば、医療機関の受診が推奨されます。

手の指や手首を曲げる筋力の低下

手の指や手首を曲げる筋力が低下し、物をつかむ力が弱くなってきます。初期の段階では、ペットボトルのふたが開けにくい、財布からお金を取り出しにくいといった症状が出始めます。

進行すると、ボタンをかけることが難しくなったり、箸やペンをうまく使えなくなったり、歯ブラシをしっかり握れなくなったりと、手先を使う細かな動作に支障が出てくるのが特徴です。

大腿部の筋力低下と歩行障害

もう一つの大きな特徴が、太ももの前側の筋肉低下です。椅子から立ち上がる時や階段を上る時に、足に力が入りにくくなってきます。また、歩いているときにつまずきやすくなり、転倒のリスクも高まります。
症状が進行すると、歩行に補助具が必要になることもあります。

筋肉のこわばりや痛み

朝起きたときや、同じ姿勢を長く続けた後に筋肉のこわばりや痛みが出ることがあります。体を動かし始めると症状が和らぐことが多いですが、日常生活に支障をきたすこともあります。

ただし、このような筋肉のこわばりや痛みは、他の筋肉の病気でも一般的に見られる症状のため、それだけで封入体筋炎と判断することは難しいとされています。

封入体筋炎の検査・診断

封入体筋炎の症状は他の筋肉の病気と似ているため、他の病気との鑑別が重要です。診断を行うためには、いくつかの検査を組み合わせて総合的な判断が求められます。

血液検査

血液検査では、クレアチンキナーゼ(CK)という筋肉の損傷を示す物質を調べます。

ほかの筋肉の病気では、CKの数値が大きく上昇することが多いですが、封入体筋炎では、それほど上昇しないことが特徴です。血液検査だけでは診断をつけることは難しく、さらに詳しい検査が必要となります。

筋電図(EMG)検査

筋電図検査は、筋肉に小さな電極を付けて、筋肉の活動を電気の信号として記録する検査です。この検査により、筋力低下が筋肉自体の問題なのか、それとも筋肉を動かす神経の問題なのかを見分けることができます。

筋生検

筋生検は、筋肉の一部を採取して、顕微鏡で詳しく調べる検査です。封入体筋炎に特徴的な異常なタンパク質の蓄積や炎症の様子を直接確認することができます。筋生検の検査結果が、確定診断において最も重要な情報です。

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