監修医師:
勝木 将人(医師)
2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.
未破裂脳動脈瘤の概要
未破裂脳動脈瘤とは、脳にできた動脈瘤のうち、未破裂(出血していない状態)のものを指します。
脳の動脈の枝分かれ部分などが、何らかの理由により風船のようにふくらんでしまった状態が「脳動脈瘤」です。脳動脈瘤自体は発症(保持)していても、未破裂のままであれば無症状であることが多く、検査等で偶然発見されるまで存在に気がつかない例もよくあります。
しかし、脳動脈瘤が破裂すると「くも膜下出血」を引き起こし、命の危険にさらされます。
脳動脈瘤ができる原因は、血管の壁が弱くなった部分に血流の負荷がかかることですが、その発症メカニズムはまだ完全には解明されていません。
遺伝的な背景、喫煙や暴飲暴食等の生活習慣、糖尿病等の既往歴、といった要因に影響を受けやすいことがわかっています。
なお、脳動脈瘤自体は決してまれな疾患ではなく、日本人の約3%が未破裂脳動脈瘤を発症(保持)しているとも言われています。したがって、この疾患の予防においては、脳ドックなどの検査による未破裂脳動脈瘤の早期発見と、その後の適切なリスク管理が重要となります。
出典:脳動脈瘤|国立研究開発法人国立循環器病研究センター 未破裂脳動脈瘤|京都大学医学部付属病院脳神経外科
未破裂脳動脈瘤の原因
脳動脈瘤ができる原因は、完全には解明されていません。
脳の動脈内において、何らかの理由により血管の壁がもろくなる、柔軟性を失う、傷つく、といったことをきっかけとして発症すると考えられています。
特に、脳動脈の複雑な枝分かれ部分には血流による負荷が集中しやすく、枝分かれ部分が風船のようにふくらんだ形が、脳動脈瘤のもっとも典型的な形状として知られています。
脳動脈瘤の発症リスクを高める主な要因は以下のとおりです。
生活習慣
喫煙の習慣、過度の飲酒、偏った食生活、不規則な生活リズムなど、生活習慣が発症リスクに影響すると考えられています。中でもとくに、喫煙習慣は血管に与える負担が大きいことで知られています。
遺伝的要因
遺伝的特徴による家族歴も、未破裂脳動脈瘤の発症リスクに影響すると考えられています。2等親以内の親族に発症歴があることがわかっている場合は、発症の可能性に注意すべきです。
他の病気の既往歴
糖尿病や高血圧症などの生活習慣病、多発性嚢胞腎症などの既往歴を持つ人は、発症リスクが高いことが知られています。
性別・年齢
脳動脈瘤は男性より女性に多く見つかることが知られており、閉経後のホルモンバランスなどの影響が指摘されています。また患者が高齢であると、発症率や再発率が高いことも報告されています。
配信: Medical DOC