膀胱がんの症状
膀胱がんにはどのような症状があるのでしょうか?主な症状について説明していきます。
血尿
血尿とは尿のなかに血液が混ざっている状態です。膀胱がんの症状のなかでも、よく見られる症状の1つです。
その割合は膀胱がん患者さんの8割以上ともいわれています。初期では血液混入が少量のため、肉眼的には血尿だとわからないこともあります。無症状かつ肉眼的な血尿という症状が出現し、そこではじめて身体の異変に気付くことも少なくありません。
またこの肉眼的血尿は数日で消失してしまうこともあります。
頻尿
日本泌尿器科学会では頻尿は朝から夜までの排尿回数が8回以上と定義されています。
さらに1日の排尿回数は個人差がさまざまなため、8回以下でも自分自身で排尿回数が多い、と感じる場合も頻尿といえるとされています。
排尿時の痛み
通常、排尿時に痛みは伴いません。しかし膀胱がんの場合、排尿時に尿道や膀胱周囲に痛みや違和感を伴うことがあります。
この排尿時の痛みは、尿道の粘膜が損傷したり細菌による感染を起こした時に出現することがほとんどです。
残尿感
排尿後に尿が残っているような感覚やスッキリしない感じがあることを残尿感といいます。
この症状は尿の排出経路である、膀胱から尿道口までの通過障害が主な原因です。
すなわち膀胱がんにより、尿の排出経路で通過障害が生じている場合に、有する症状といえます。
切迫した尿意
膀胱がんでは、我慢ができないような急におしっこがしたくなるという症状が出現することもあります。
これはがんが膀胱を刺激することで生じる症状です。
膀胱がんの治療方法
進行度や範囲により選択できる治療方法が変わってくるのが、膀胱がんの治療法です。また膀胱がんの状況によっては、複数の治療方法を組み合わせて行うこともあります。
一般的に膀胱がんの状況(悪性度や深達度)を把握する目的でまず行われるのが、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)です。この際に切除した部位を検査に提出し、その結果を踏まえて治療方法が決まります。
ここからは、その際に提案されるであろう、主な膀胱がんの治療法5つについて解説していきます。
膀胱内注入療法
筋層非浸潤性膀胱がんに対する膀胱内にBCG薬液(ウシ型弱毒結核菌)や抗がん剤を注入して行う治療法です。
BCG薬液・抗がん剤のどちらを注入するのか、どの程度の回数や期間をおこなうのかはリスク分類をもとに判断されます。
治療には尿道口からカテーテルと呼ばれる細い管の挿入が必要です。カテーテルの先端が膀胱に到達したら残尿を排出させ、BCG薬液または抗がん剤をカテーテルを経由して注入します。
注入後は1〜2時間程度排尿を我慢し膀胱内に貯めておき、その後排尿をして終了です。
手術
膀胱がんの外科的手術は、一般的に膀胱全摘出術です。膀胱全摘出術では男性の場合は膀胱・前立腺・精巣、女性の場合は尿道・子宮・卵巣まで一緒に摘出する術式になります。
また尿をためておく役割の膀胱を摘出するため、尿を身体の外に出すための尿路変更術があわせて必要です。
尿路変更術は次の3種類から、状態やライフスタイルを考慮し決定します。
回腸導管:小腸の一部を尿の導管として利用し、尿の排出口としてストーマを造設します。尿意はなく自然に排出されるため、ストーマにはパウチと呼ばれる集尿袋を装着します。
自排尿型新膀胱造設術:小腸や大腸で膀胱の代替を作成します。尿意は感じないため、ある程度の時間で腹圧をかけ、トイレで排尿する仕組みです。尿道に再発がある場合は適応外になります。
尿管皮膚瘻:切除した尿管が直接皮膚とつながれ、ストーマとなります。そのためパウチと呼ばれる集尿袋の装着が必要です。
経尿道的膀胱腫瘍一塊切除(TURBO)
表在性膀胱がんに対し、標準治療法として多く行われるのが経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)です。
この術式では、尿道口から膀胱鏡という内視鏡を挿入し、膀胱内の腫瘍を細かく切除をして除去をします。細かく切除された病変を病理診断に出すため正確さに不安定さがありました。
一方で経尿道的膀胱腫瘍一塊切除(TURBO)は、腫瘍病変を一塊で切除するため、病理診断で膀胱がんの進行度や広がりの程度をより正確に行えます。
薬物療法
薬物療法とは、病気や症状の改善を目的として薬剤を投与することです。
膀胱がんにおける薬物療法は前述した膀胱内注入療法のほかに、点滴で抗がん剤を注入する全身療法、膀胱動脈にカテーテルを経由して抗がん剤を注入する動注化学療法があります。
放射線治療
放射線治療は病巣部に高エネルギーの放射線をがん細胞に照射し、がん細胞を破壊し増殖を抑制する治療法です。
膀胱がんでは膀胱と骨盤に外照射を行います。60〜66Gyが推奨される総線量です。1回の照射は1.8〜2.0Gyのため、回数としては30回前後になります。
配信: Medical DOC