便秘を放置するリスク・解消方法
便秘を放置するとどのようなリスクがありますか?
便秘を放置しているとほかの病気になる原因になります。
痔
脱肛、直腸粘膜脱
糞便塞栓症
大腸の潰瘍、穿孔、腹膜炎
肌荒れ
便秘のときには便が硬くなっています。この便を出そうと排便時にいきむことで、肛門を傷つけ痔になります。いぼ痔がすでにできていた場合、いきむことで大きくなり出血しやすくなるので注意が必要です。排便時に痛みを伴うからと便秘を放置していると、さらに便が硬くなり状態が悪化していきます。脱肛とは排便時にいきむことで痔核の血管が膨れ、痔核が肛門の外に出てきた状態です。いきむ回数が増えると脱肛になる可能性が高くなります。脱肛の状態が続くと、直腸の粘膜も出て来てしまい直腸粘膜脱という病気になります。糞便塞栓症は便が直腸内で硬くなり自力では排出困難なため、指や器具で掻き出す必要がある状態です。直腸粘膜と便の隙間から押し出されるように液状の便が出ることがあり、下痢と間違われることもあります。大腸内に便が留まってしまうことで、大腸に潰瘍ができたり穴が開いたりすることがあります。これが大腸潰瘍と穿孔です。大腸穿孔が悪化すると、穴の開いた部分から便のなかの細菌がお腹へ広がり腹膜炎という病気になる可能性もあります。
便秘の解消方法を教えてください。
便秘を解消するために、自身でできることを解説します。
規則正しくバランスの取れた食事
排便習慣の取得
運動習慣の取得
市販薬の使用
食事は1日3食食べるようにしましょう。食物繊維が豊富に含まれている食品を摂取することも大切です。食物繊維が豊富に含まれているバナナや根菜類などをよく噛んで食べるようにしましょう。一緒に水分もたくさん補給することで便が膨らみやわらかくなります。排便習慣をつけることも大切です。さらに、運動をすることで腸管の動きもよくなります。適度な運動を心がけましょう。便秘を解消するために市販薬を使用するのもよいでしょう。市販薬には、さまざまな種類があります。
膨張性下剤:便を大きく柔らかくする作用があります。便が大きくなることで大腸が動くことを促します。
浸潤性下剤(軟化下剤):便に含まれる水分量を増やして柔らかくする作用があります。便の表面張力を低下させる効果があるので、排便しやすくしてくれます。
塩類下剤・糖化下剤:大腸内の水分を増やして便を柔らかくし、排便しやすくさせる作用があります。
刺激性下剤:大腸を刺激することでぜん動運動を促進させ、排便させる作用があります。
浣腸:直腸と大腸の粘膜を刺激することで排便を促す作用があります。
上記のなかだと、浸潤緩下剤と塩類下剤、糖類下剤は作用が穏やかです。浣腸の使用は習慣性がそこまで強くないとわかってきましたが、浣腸を使用した後は飲み薬に変更して便を出すようにするのが一般的な治療です。
自己判断で市販の便秘薬を飲んでも大丈夫ですか?
緩下剤のなかには、腎機能が低下している方や高齢者などが服用すると危険な下剤もあります。持病をお持ちの方は必ず病院に相談し、適切な処方をしてもらうようにしましょう。身体のどこが原因で便秘になっているかで内服するべき薬の種類が変わります。便秘のため病院を受診したときには、下記の内容を医師に伝えるとよいです。
いつから便秘の状態が続いているのか
便の色や硬さ、形
便秘以外に腹痛や発熱といった症状がないか
温水洗浄便座を使用しているか
市販薬の使用歴
治療中の病気の有無、手術歴
服用中の薬
これらの情報から、医師が自身にあった薬を処方してくれます。
編集部まとめ
便秘には食事や生活リズムの乱れ、糖尿病や甲状腺疾患などの持病、精神疾患や咳止めなどに対する治療薬などが原因になることがわかりました。
自身で改善できるものから、病院を受診し適切な処置が必要な場合もあります。
自身で便秘の対処を試みるだけでなく、便秘が長く続くときには病院を受診し治療を行うようにしましょう。
参考文献
わかりやすい病気のはなしシリーズ49 便秘
便秘(済生会)
便秘の種類(市立御前崎総合病院)
配信: Medical DOC
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