網膜芽細胞腫の前兆や初期症状について
網膜芽細胞腫の早期発見には、特徴的な症状を知ることが重要です。
白色瞳孔
正常な瞳孔は黒く見えるものですが、網膜芽細胞腫がある場合、瞳孔に入った光が奥にある腫瘍で反射して、白く見えることがあります。これは白色瞳孔または猫目現象と呼ばれていて、早期発見のために重要な症状となります。
実際に、子どもの目の異常に親が気づき、医療機関を受診するケースは少なくありません。統計上、最もよく見られる初発症状は白色瞳孔です。
斜視
斜視は、2つの眼球が別の方向を向いてしまう症状です。本来、物を見るときは両目とも同じ方向を向いています。しかし、網膜芽細胞腫を発症して片目の視力が低下すると、両目で物に視点を合わせることが難しくなります。その結果、片方の目が内側や外側に向く斜視が見られることがあります。
眼球突出
網膜芽細胞腫が進行すると、腫瘍が大きくなり、眼球の後ろに圧力がかかることで、眼球が前方に押し出される「眼球突出」が見られることがあります。腫瘍が眼球内でスペースを占拠するため、正常な位置を保てなくなるためです。
眼球突出は、見た目にも明らかな変化をともなうことが多く、家族が異変に気付きやすい症状のひとつです。
網膜芽細胞腫の検査・診断
網膜芽細胞腫の診断では、主に眼底検査が行われ、必要に応じて画像検査、髄液検査や骨髄検査、遺伝子検査を行うこともあります。
眼底検査
眼底検査は、眼科医が網膜や視神経の状態を確認するための検査です。眼底鏡という機器を使って、網膜に腫瘍があるかどうかを直接目で見て確認します。
腫瘍がある場合、眼底に白い斑点や異常な反射が見られることがあります。眼底検査は比較的簡単な検査で、網膜芽細胞腫の初期発見に役立ちます。異常が見つかった場合には、さらに詳しい検査が必要とされます。
画像検査
CTやMRIは、目の周りや頭部の詳しい状態を確認するための画像検査です。特に、腫瘍が目の外に広がっている場合や、眼球の突出が見られる場合には、MRIを使って腫瘍の広がりを確認します。これにより、腫瘍が目だけでなく他の部位に影響を及ぼしているかどうかがわかります。
他にも、まぶたの上から超音波を当てて、腫瘍の位置や大きさを画像で確認する場合もあります。体に負担をかけずに目の中の状態を調べられるため、安全で有効な方法です。
また、PET検査やシンチグラフィーといった検査も行われることもあります。これらの検査は、腫瘍が他の臓器に転移しているかを調べるために行われ、全身の状態を確認するために役立ちます。網膜芽細胞腫が目以外の部位に広がっているかを調べることで、より広範な治療が必要かどうかが判断されます。
遺伝子検査
網膜芽細胞腫が遺伝性の可能性がある場合には、RB1遺伝子に異常がないかを調べる遺伝子検査が行われます。家族に同じ病気の方がいる場合や、遺伝性の疑いがある場合には、早期の診断と治療のために遺伝子検査が推奨されることもあります。
また、出生前または出生直後に検査を行うことで、早期の対応が可能となり、治療の選択肢も広がります。
配信: Medical DOC