骨折の治療
骨折の治療方法は、骨折の種類や場所、年齢や全身状態によって異なりますが、基本的には骨を正しい位置に戻し、固定して治癒を待つことが目的です。
以下に、骨折の主な治療方法を示します。
保存療法
ギプスや副木による固定:
骨が適切な位置にある場合や、ずれが少ない場合は、ギプスや副木(そくぼく)を用いて固定し、自然治癒を待ちます。固定によって骨が安定し、周囲の筋肉や靭帯の動きを抑えることで、骨が正しく癒合します。ギプスは腕や足、鎖骨などさまざまな部位に使用されます。
安静とリハビリ:
骨折の治癒期間中は、骨折部位をしっかりと安静に保つことが大切です。また、ギプスを外した後には、リハビリテーションが必要です。リハビリでは、筋力や柔軟性を回復させ、日常生活に戻るための運動療法が行われます。
手術療法
骨接合術(プレートやスクリュー):
骨折が複雑な場合や、骨が大きくずれている場合には、手術によって骨を正しい位置に戻し、プレートやスクリュー、ワイヤーなどを使って固定します。この方法は、特に大腿骨や上腕骨などの長い骨や、関節に近い骨折で用いられます。手術後は、骨が癒合するまでの間、リハビリと定期的な経過観察が行われます。
外固定術:
外固定術は、骨折した部位の外側から金属フレームやピンを使用して骨を固定する方法です。複雑な開放骨折や感染リスクが高い場合に適用されることがあります。この方法は、手術後のケアが重要であり、感染予防のために注意が必要です。
薬物療法
骨折は強い痛みを伴いますので、痛み止めを使用します。アセトアミノフェンもしくは非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)を使用します。
骨折になりやすい人・予防の方法
骨折になりやすい人
骨折のリスクは、年齢や生活習慣、病歴などによって異なります。
以下に、骨折になりやすい人の特徴を示します。
高齢者:
骨粗鬆症が進行している高齢者は、骨がもろく、転倒によって骨折するリスクが高まります。特に股関節や大腿骨、脊椎の骨折が多いです。
骨粗鬆症患者:
骨粗鬆症は骨密度が低下し、骨が折れやすくなる病気です。この状態では、軽い衝撃でも骨折することがあります。
スポーツ選手:
激しい運動や接触が多いスポーツを行う選手は、骨折のリスクが高まります。特にサッカーやラグビー、バスケットボールなどの競技では骨折が発生しやすいです。
栄養不足の人:
カルシウムやビタミンDの不足は骨の強度を低下させ、骨折リスクを高めます。栄養バランスの乱れた食生活を送っている人は、骨が弱くなりがちです。
骨折の予防方法
骨折を予防するためには、日常生活での対策が重要です。
以下に、骨折の予防方法を示します。
転倒防止:
特に高齢者は、家の中や外での転倒を防ぐ工夫が必要です。滑りやすい床や段差に注意し、手すりやバリアフリーの設備を設置することで転倒リスクを減らすことができます。また、足元がしっかりした靴を選ぶことも重要です。
運動習慣を取り入れる:
定期的な運動は、骨の強度を維持し、筋力やバランス感覚を向上させるため、骨折予防に効果的です。ウォーキングや軽い筋力トレーニング、ストレッチなどを日常生活に取り入れることで、骨折のリスクを軽減できます。
栄養バランスの取れた食事:
骨の健康を保つためには、カルシウムやビタミンD、たんぱく質を豊富に含む食事が重要です。牛乳や乳製品、魚、豆類、野菜などをバランス良く摂取することで、骨の強度を高めることができます。また、ビタミンDは日光を浴びることで体内で生成されるため、適度な日光浴も骨折予防に役立ちます。
骨密度のチェック:
特に高齢者や骨粗鬆症のリスクがある人は、定期的に骨密度検査を受けることが推奨されます。早期に骨密度の低下を確認し、必要に応じて治療を開始することで、骨折を予防できます。
保護具の使用:
スポーツや作業中に骨折のリスクが高い場合は、適切な保護具を使用することが重要です。例えば、ヘルメットや膝当て、リストガードなどは、衝撃を吸収し、骨折のリスクを減らします。
以上の対策を取り入れることで、骨折のリスクを減らし、骨の健康を維持することができます。
参考文献
UpToDate 急性骨折治療の一般原則
UpToDate 骨折治療の一般原則:早期および晩期合併症
UpToDate 骨折治療の一般原則:骨の治癒と骨折の説明
UpToDate 根治的骨折治療の一般原則
配信: Medical DOC
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