「アルポート症候群」の前兆・初期症状はご存知ですか? 特徴を併せて医師が解説

「アルポート症候群」の前兆・初期症状はご存知ですか? 特徴を併せて医師が解説

アルポート症候群の前兆や初期症状について

アルポート症候群は、初期段階ではゆっくりと症状が進行するため、発見が遅れることも少なくありません。

血尿

アルポート症候群の初期には、血尿が見られます。
多くの場合、見た目では血液が混ざっていることはわかりません。3歳健診や小学校での尿検査で異常を指摘されて初めて見つかることが多いです。

タンパク尿

尿中にタンパク質が含まれる「タンパク尿」が進行にともなってあらわれるようになります。

タンパク尿が見られるのは、腎臓のろ過機能が低下している証拠です。アルポート症候群がさらに進行すると、タンパク尿の量は増えていきます。
とくに深刻な場合は、大量のタンパク尿が続くことで血中のタンパク質が減り、むくみが生じる「ネフローゼ症候群」を発症する場合もあります。

難聴

難聴はアルポート症候群の特徴的な症状の一つです。難聴のなかでも、高音域が聞こえにくくなる感音性難聴が生じます。高い音が聞こえづらい、女性や子どもの声が聞こえづらいといった症状としてあらわれるのが特徴です。思春期頃に発症し、成人期まで進行することがあります。

ただし、すべての患者さんが難聴を発症するわけではなく、人によっては難聴を発症しない場合や難聴の程度にも個人差があります。

視覚異常

目では、主に角膜や水晶体に問題が生じます。具体的には、角膜の透明度が低下する「角膜混濁」や、水晶体の形が変化することによる「白内障」が起こることがあります。角膜混濁や白内障によって、見え方がぼやける、まぶしく感じる、視力が低下する、乱視が進むなどの症状があらわれます。

アルポート症候群の検査・診断

アルポート症候群の診断では、血尿の有無とⅣ型コラーゲンの生成にかかわる遺伝子変異の確認が重要です。

これらに「糸球体基底膜の特徴的な所見」や「両耳の高音感音性難聴」「腎炎や腎不全の家族歴」「眼の特徴的な所見」などの要素を含めて判断します。

尿検査

先述したように、アルポート症候群では発症初期から血尿があらわれ、進行にともないタンパク尿も見られるようになります。血尿やタンパク尿は肉眼で確認できないことが多いため、尿検査で調べる必要があります。

実際の発見経路としては、医療機関で尿検査を実施するよりも、3歳健診や小学校での尿検査で異常を指摘されることが多いです。時には、発熱をともなう風邪を引き、血尿に気づいて医療機関を受診し、尿検査の実施に至ることもあります。

遺伝子検査

遺伝子検査は、アルポート症候群の確定診断に必要な検査です。Ⅳ型コラーゲンの生成にかかわる遺伝子に変異があるかどうかを調べます。遺伝子検査の結果から、今後どのように進行する可能性が高いか、家族の中に発症する可能性がある人はいるのかなどを知ることもできます。

聴力検査

高音域の音が聞こえにくくなる「感音性難聴」が確認された場合、アルポート症候群の可能性が疑われます。アルポート症候群と診断された場合、定期的に聴力検査を行い、聴力低下の進行度を確認することも重要です。

腎生検

腎生検は、腎臓の組織を採取して顕微鏡で分析する検査です。腎臓の基底膜の状態を確認し、アルポート症候群特有の病変が見られるかを確認します。この検査結果は、診断材料というよりも、腎機能の低下度合いや治療方針を確認するために行われます。

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