VREの前兆や初期症状について
VREを保菌していても無症状のケースが多いです。しかし、VREによって感染症を引き起こすと、その感染症に応じてさまざまな症状があらわれます。
尿路感染症
尿路感染症はVRE感染症のなかでも比較的よく見られるものです。排尿時の痛みや頻尿、尿のにごり、悪臭などの症状があらわれます。
軽症のうちは尿路のみの感染にとどまりますが、進行すると腎臓にまで感染が広がる場合があります。
腎臓まで感染が広がると、腎盂腎炎という深刻な状態になる可能性があります。腎盂腎炎になると、高熱や腰痛、吐き気などの症状があらわれ、さらなる進行で敗血症にいたることがあります。
敗血症
敗血症では、高熱、悪寒、血圧低下、全身の倦怠感などの症状があらわれます。血液中に菌が侵入することで発症することが多いです。全身の臓器に重大な影響を及ぼすことがあるため、迅速な治療が求められます。
とくに免疫力が低下していると、急速に状態が悪化する可能性があり、生命の危険に直結する恐れがあります。
創傷感染症
創傷感染症は、手術部位や褥瘡(床ずれ)部分にVREが感染することで発症します。感染部位に腫れや赤みが生じ、痛みをともなうようになります。
進行すると、膿が出ることもあります。感染が広がると傷の治癒が遅れ、周りの組織に感染が広がる可能性があるため、他の感染症による症状と同様に、迅速な対応が求められます。
VREの検査・診断
VRE感染症の診断は、複数の検査方法を組み合わせて行われます。
薬剤感受性試験
薬剤感受性試験は、細菌が特定の抗生物質にどの程度反応するかを調べる検査です。VREの場合は、腸球菌がバンコマイシンに耐性を持っているかを確認するために、薬剤感受性試験が行われます。
PCR検査
PCR検査は、細菌がバンコマイシンに耐性を持つ遺伝子があるかどうかを調べる検査です。細菌が持っている遺伝子を短時間で調べられるため、迅速な診断が可能です。PCR検査は、従来の細菌培養検査よりも結果が早く出るため、治療を早めることができ、感染拡大を防ぐのにも役立ちます。
スクリーニング検査
医療機関内にて、一人でもVREの保菌者が確認された場合は、すべての患者に対してスクリーニング検査を行うことが望ましいとされています。ここで言うスクリーニング検査は、VREによる症状がない人に対してVREの保菌者を見つけるための検査です。
スクリーニング検査で早期にVRE感染者を見つけることができれば、感染拡大を防ぐことができます。
配信: Medical DOC