VREの治療
VREの治療は、バンコマイシンが効かないため、他の耐性を持たない抗生物質を中心に、治療を行います。
抗生物質
VREはバンコマイシンに耐性を持っているため、治療には他の抗生物質の使用が検討されます。VRE治療でよく使われる抗生物質には、リネゾリドやキヌプリスチン・ダルホプリスチン、テイコプラニンなどがあります。ただし、VREにはいくつかの遺伝子タイプがあり、それぞれのタイプによって抗生物質の効果が異なります。そのため、どの薬が効くかを確認しながら治療を進める必要があります。
感染管理
VREは院内で広がりやすいため、徹底的な感染管理が行われます。医療従事者や患者の家族が接触する際は、手袋やマスクを着用し、患者に触れた器具やリネン類も使った後は徹底的に消毒されます。感染拡大を防ぐために、患者が個室で隔離されることもあります。
VREになりやすい人・予防の方法
VREに感染しやすいのは、免疫機能が低下している人です。たとえば、がん治療中の方や臓器移植を受けた後で免疫抑制療法を行っている方、糖尿病や腎臓病などの慢性疾患を持つ方が感染リスクが高いと言えるでしょう。
もう一つ、長期にわたる入院や抗生物質の頻繁な使用もVREの感染リスクとなります。抗生物質を長く使用すると、その分、耐性菌が増えてしまいます。
予防には、医療機関内での感染管理が重要です。医療従事者は、患者ごとに器具を使い分けたり、手洗いや消毒を徹底したりして、接触感染のリスクを減らします。また、手袋やマスクの着用、患者が触れたリネン類の徹底的な消毒も欠かせません。患者自身も手指の衛生を心がけることで感染リスクを下げることができます。
また、抗生物質は必要な場合に限り使用し、むやみに使わないようにすることも耐性菌の増加を抑えるために大切です。
感染性心内膜炎
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
参考文献
国立感染症研究所「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の臨床・治療について」
国立感染症研究所「バンコマイシン耐性腸球菌」
東京都感染症情報センター「(22)バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症」
北海道大学「6‐3. バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)」
配信: Medical DOC
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